ナボコフ

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ナボコフ『青白い炎』(岩波文庫)時系列

ナボコフと言えば「難解」「韜晦」「天才」など数多くの賛辞が与えられてきて、20世紀を代表する作家と言われています。でも、これらの賛辞は印象だけでしかなく、分け入ってみれば豊かな世界が晴れ晴れと(時にはロリータのようにひどい台風ととも...
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『ナボコフ全短篇』を読む試み その2

【楽天ブックスならいつでも送料無料】ナボコフ全短篇 価格:8,424円(税込、送料込) その1はだいぶ昔に書いたはず。今回は『ナボコフ全短篇』を頭から読み始めたら、まったく止まらなくなった。 「森の精」は以前読んでダンセ...
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ナボコフ『絶望』読書会

去る11月16日、都内某所にてナボコフ『絶望』(光文社新訳文庫)の読書会が開催された。人数は9人。ナボコフというとどうしても敷居が高い。海外文学の金字塔と言っても過言ではない。そんな本をこういう機会だから読もうと集まってくださった方...
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『ナボコフ全短篇』を全部読む試み――「ラ・ヴェネツィアーナ」――

ここまで4篇読んできた『ナボコフ全短篇』はもちろんどれも粒ぞろいではあるのだが、この「ラ・ヴェネツィアーナ」は頭ひとつ抜けていると言えるだろう。そしてナボコフを「幻想作家」と呼ぶことが許されるのも本作あってと言えそうだ。「森の精」に限らずナ...
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『ナボコフ全短篇』を全部読む試み――「じゃがいもエルフ」――

じゃがいもエルフという垢抜けない、ちんちくりんなイメージ。指輪物語を読んでいる我々ならホビットを連想するところだろうが、本作は1929年にかかれているので、指輪物語は構想されてはいるが作品にはなっていない。前半と後半でがらりと勢いを...
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『ナボコフ全短篇』を全部読む試み――「森の精」――

全880ページ。かつては2巻分冊だった短篇集が1冊にまとまり、しかも改訳・新訳が入って早2年。次回『絶望』読書会にあたり、そろそろこいつを瓦解せねばなるまいと思ったが、一気に全部読み通すのは骨が折れる。そもそも短篇集を一気に読むと、ちがう味...
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次回読書会は11/16(土)、課題図書はナボコフ『絶望』です!

次回読書会は11/16(土)、課題図書はナボコフ『絶望』です! 「10月出版」としかないので日程的にやや不安が残りますが、ナボコフで読書会をする機会はなかなかないと思います。ナボコフ初読の方もぜひ。 日時:11/16(土) ...
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ナボコフ『賜物』(河出書房新社)

ナボコフの魅力を他人に伝えるのが難しい。ボルヘスなどと並んで「これさえ読めば海外文学通を気取れる」名声を持った作家だが、そう言われるには理由があり、それでも伝わりにくいのは、物語のあらすじではまとめられない細部の美しさのためだと思う...
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ナボコフ『賜物』第1章

池澤夏樹編集の海外文学全集は、これを出したことに最大の意義があったと思う。それまで文庫版がしばらく品切れで相当な高値をつけ、いたずらにナボコフへのハードルをあげてきた戦犯の一冊だ。ナボコフは実際に読んでみると確かに詳細がつかみにくい...
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ナボコフ先生の視点をインストール

セサル・アイラ『わたしの物語』では正体不明の人物の語りを楽しみ、『2666』ではいつ終わるともしれないページ数と細く辿れる人物の関連に眼を細めたりした。しかし、どうも自分が欲している物語の形とは異なるような気がしている。いわゆる「物語にのれ...