2013年の読書ベスト10

Pocket

2013年は中野好夫で明けた。ディケンズ翻訳の気品とべらんめえ調が混じった勢いが素敵。その舞台裏とも言える『風前雨後』(講談社文芸文庫)は著者のぴりっとした佇まいが感じられる名エッセイ。 http://book.akahoshitakuya.com/b/4061960792 #bestof2013

アート・スピーゲルマン『マウス』ユダヤ人として生き延びたナチス・ドイツの一部始終がねずみの漫画で描かれる。 難しいことはないけれども、残酷性を削ぎ落した分、読者に自分がその立場ならどうするのかを突きつけてくる。http://book.akahoshitakuya.com/b/4794923007 #bestof2013

読書会が復活して一段階ギアが変わったのが『ロクス・ソルス』 (平凡社ライブラリー) 。この異質をどう受け止めるのか様々な意見が出た。物語を画一的に見ず、参加者の個性が見える読書会になったという意味で忘れがたい。 http://book.akahoshitakuya.com/b/4582765114 #bestof2013

ずっと積んでいたピーター・ケアリー『イリワッカー』を読みきった。オーストラリア版『百年の孤独』と言ってもいいような、乾いた破天荒さは、一方で不毛な人間関係も浮かび上がらせる。他人に勧めはしないけどおもしろかった。http://book.akahoshitakuya.com/b/4560044783 #bestof2013

カサーレス『パウリーナの思い出に』が悲喜交交。カサーレスの新刊が出るのはうれしい。良質なんだけど、テイストが近くて『モレルの発明』を超えてこないもどかしさ。 http://book.akahoshitakuya.com/b/433604841X #bestof2013

新刊といえばロン・カリー・Jr.『神は死んだ』のふてぶてしさが良かった。世紀末SFの雰囲気を残しつつ、20世紀とはちがう視点・ガジェットが新鮮。http://book.akahoshitakuya.com/b/4560090270 #bestof2013

『犬の伊勢参り』の奇想天外さには驚いた。直球のタイトルからして驚くし、この本の無意味且つ好奇心を揺さぶる題材の妙。江戸時代の日本がいかにおかしいかを改めて垣間見た。http://book.akahoshitakuya.com/b/4582856756 #bestof2013

庄野潤三『夕べの雲』こんなにぼんやりした家族が生きていけるのかと感慨に浸る。幸せすぎて嘘みたいなのが一周して、じんわりと温泉みたいに効いてくる。 http://book.akahoshitakuya.com/b/4061960156 #bestof2013

ミラルド・パヴィチ『ハザール事典』はハマった。東方ユダヤ人のルーツまで調べだしたくらいで、三層構造の物語と歴史のダイナミズムが混淆して今年のベストにふさわしい1冊。http://book.akahoshitakuya.com/b/4488013597 #bestof2013

10冊目はナボコフ『賜物』。色彩の鮮やかさ、喜びに満ち溢れた人生。一つ一つが美しい。 http://www.uporeke.com/book/?p=711 #bestof2013

コメント