竹内栖鳳展で感性を揺さぶられる

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東京国立近代美術館で開催されている竹内栖鳳展は、単純に日本画と洋画の融合を結実させた画家という以上に、なんだか心揺さぶられるものだった。

なんといっても有名なのは日本画の技法でローマを描いてしまった「羅馬之図」。
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長谷川等伯『松林図」の茫漠とした形象に遠近感が加わって見たことのない絵になっている。全体の黄金色からローマよりももっと東、シルクロードの絵のような、幽玄な印象を受けた。

そして猫大好きな「班猫」。
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日本画というと琳派の影響なども強いのか、動物を描いた時になにかしらデフォルメされている部分がある。と思い込んでしまっているのは浮世絵で扱われる猫の多さのせいかもしれない。また、江戸期までは猫はあまり題材にならず、虎が扱われるがやはり実物を見ていないデフォルメ感が強い。その点で、竹内栖鳳は洋画のリアリズムを猫で描いた最初の画家なのかもしれない。展覧会解説にもあるとおり、観る者との緊張感を感じさせ、ちょっとでも不審な動きがあれば逃げ出しそうな時間だ。

リアリズム一辺倒というわけではなく、後期になるとカラスをベタに塗りつぶした「群鴉」や、芸術が爆発してしまってゆるキャラになった「熊」を見ると、それまでのギャップにすごく驚く。
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プロがお手先で遊んだけれども上手さが隠しきれないというか、長沢芦雪の酔った勢いで繰り出された筆の力強さと遊びが混交したおもしろさを思い出す。意外にこういう作品が有名作よりもぐっと心に残る。恥じらいをそのまま絵に閉じ込めてしまった「絵になる最初」なんかもすごいいいです。大体絵画で裸になるモデルはみんな恥の概念を放り捨てて、描く方も恥じらいを描きたいとかきっと思わないのか、服を脱ぐ手前の瞬間を捉えるという新しい発想。頬にさす自然な紅、黒茶の着物と白い肌の対比と、すべてエロい、素晴らしい。等身大の大きさで描かれているからこその傑作。ぜひ、男子諸君には会場でまじまじと見ていただきたいです。
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