本を読むときの音楽3選

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家にはどんとこたつが据えられている。茶色のこたつ布団が大きな山裾のように広がり、来る者を拒まず温めてくれる。猫ももちろん愛用している。そして、すぐ近くには寝具の羽毛布団も控えている。ちょいっとめくって潜り込んだら、のび太の速度で寝入ることまちがいなし。こんな環境で本など読めるわけもないので、休みの日にはわざわざ外出して本を読むようにしている。

しかし、外は雑音がひどい。朝早くでかければ同じような人しかいないから静かかと思えば、近くの講堂でバレエの大会が開かれていたりして、その準備時間ということでママさんたちが喫茶店にひしめき合っていることがある。座ったまま勝手に鳴るシンバルのような騒がしさで、彼女たちは自分たちの言葉を聞き取れているのだろうかと逆に心配になるほどの大音声だ。そんなときは、耳栓代わりになるイヤホンを使う。しかし、ただ耳栓した状態だと味気ないので音楽も流してみる。学生の頃はハードロックを聴きながら勉強できたものだが、ろくな学校に入れなかったところを見ると、やはりハードロックは勉強に良い影響を与えないのではないかと思う。せめてインストゥルメンタルならば耳から言葉が入ってこないので、眼から言葉を取り入れることができただろうに。おそらく言葉というのは一度にどこか一カ所の穴からしか入らないように、人の身体はできているのだ。

というわけで今は本を読むときに日本語も英語も混ざらない音楽を聴くようにしている。一番よく聴くのは何かとiTunesに尋ねてみたら、Brian Eno & Harold Budd「Ambient 2 The Plateaux Of Mirror」でした。

アンビエントを聴くようになったのはここ五年くらいだけれども、クラシックやジャズとちがって音に角がない。だから聴いていても疲れないし、無音よりも落ち着く。外で無音になるのはなぜだか心細いというか、音のでないテレビを見ているような現実感が崩壊するような気がします。

あとはべたべたなGlenn Gould「The 1955 goldberg variations」。

当時きらきらな王子さまにノックアウトされた乙女の心が、21世紀になっても通じている。わたしは元曲ももちろんだけど、第2変奏 (1段鍵盤)が一番好きかな。屈折しながら最後きらきらなところが。

あとは、なかなか見つからないアルバムらしい「Piano One」というコンピレーションがすごかった。

Amazonでも結構いい値段がついているこのアルバム、タイトル通りピアノ一本の演奏ばかり。

1. Joachim Kuhn/New Feelings
2. 坂本龍一/Merry Christmas Mr. Lawrence
3. Eddie Jobson/The Dark Room
4. Joachim Kuhn/Housewife’s Song
5. Eric Watson/Puppet Flower
6. Eddie Jobson/Ballooning Over Texas
7. 坂本龍一/Last Regrets
8. Eddie Jobson/Disturbance In Vienna

坂本龍一はもちろんのこと、プログレ者としてはEddie Jobsonが目玉。しかし一番好きなのはJoachim Kuhn/New Feelings。お屋敷の大きなドアがきしみながら開いていくような重厚感と、その先に待っている不思議な世界が結晶になったような、神秘的な音楽です。

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