『プラトーノフ作品集』「粘土砂漠」

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ソローキン『青い脂』読書会の日、ソローキンの読書会だというのにすっかりプラトーノフ『土台穴』にはまっていて、集団化のばかばかしい恐ろしさについて熱くなったりした。打ち上げに行く途中の古本屋で岩波文庫からもプラトーノフが出ていることを知ったが、結構な古書価がついていたので断念。その後、再版するということで指折り数えて待っていたわけだが、会社の近くの古本市ですんなり買えてしまった。

すぐ読むべし、ということで冒頭の「粘土砂漠」。相変わらず「これが人の生活か」と人権派でなくとも憤り、そういうふうにしか生きられない過酷な自然描写に読んでいる方も打ちのめされていく、しんどい小説ではある。ペルシアとの戦争に勝った遊牧民が奴隷としてペルシアの女を連れて帰ってくる。男の何番目かの妻として生活を始めるが、仕事はできるものの感情は表さないような生活を続けている。すると、ペルシア時代に身ごもった娘が生まれる。虚無感に囚われていたペルシアの女は生きる希望を見いだすが、慣れない遊牧の生活に心身疲れ果て、感染症で生死の境に陥る。

荒涼とした砂漠で鳥の声や森の安らぎを思い起こすペルシアの女に、しんみりと同情する。田舎から東京に出ている人だって、東京砂漠で疲れ果てたときに田舎の木々や海や鳥を思い起こすことがあるだろう。もっと過酷な生活で思い起こされる自然は、一方でもう故郷には戻れない絶望の扉でもある。彼女の前で、ずっと開くことのない自由の扉は、絶望だけをもたらすものになったのかもしれない。

残りの話も楽しみであり、つらい話なんだろうなという予測もあり。次は評判の「ジャン」。

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