普段から職場と家を行き来するくらいで、他に立ち寄るのは食料品店と酒屋と書店・古本屋という人間にとって、自粛要請はほとんど影響がない。
あ、山には行けなくなりましたね。せっかく苔類の蒴が美しく出てくる時期なのに、それは残念。
でも、家の周囲を散歩して蘚類もじっくり見るようになったり、意外なところにコケを見つけたりと、楽しいこともある。
意識的に人がいない時間帯に1時間歩くと決めてからは、体重が落ちてベルトの穴が1つ変わりました。コロナウイルスのせいで健康的になってしまった。
子どもの頃から社交性と協調性がなくて、ゲームやってるか本を読んでれば満足だったので、引きこもることが社会的に要請されている状況というのは、むしろ好都合。もちろん、そうじゃない人がたくさんいて、そういう人たちによって世界が回っているのは分かるつもりだけど、個人の資質として快適になっているのは事実。すごいプログラマーや手に職がある人しかできないと思っていた在宅勤務が自分にもできていると思うと、かなり嬉しい。
こう書いている時点で23区内は各自治体とも軒並み2桁の陽性患者が記録されている。一方でわたしが住んでいる市部はほとんどが1桁。本当に感染者数が少ないのか、検査数のちがいによるものなのか、わたしのような素人にはわからない。
世間ではBCGが効くとか検査数をもっと増やせという意見があるらしい。
でも、たいていの人は医療に関して素人なのに、突然いろいろな主張がはびこるのはなんでだろう。
この新しい未知のウイルスに、本当の専門家がいません。本当は誰もわからないのです。過去の類似のウイルスの経験のみですべてを語ろうとする危うさがあります。
とあります。医師が「本当の専門家がいない」と言ってるのに、テレビやWebの証拠もない情報に惑わされるのは意味のない心労を増やすだけです。
テレビから垂れ流される無駄な情報に触れないようにして、確証のない希望に頼るのをやめることがまず最初の一歩だと思います。
そのうえで今のわたしたちにできるのは、
・石鹸でこまめに手を洗う
・人が密集する場所に行かない
・人がいないところでの軽い運動を習慣にする:走らずに歩く方が穏やかに過ごせるような気がします
・自分が好きな本を再読したり、むかし好きだった音楽を聴いたりする
・笑顔を忘れない
という当たり前のことだと思います。
書店も閉まりつつある現在、家にある積読を消化する絶好の機会です。また、時間をおいた再読は新しい発見がたくさんあります。家にある本を読むだけで、コロナウイルスのワクチンができるまでの時間を過ごせる人も多いのでは。
そして、緊急時に一番大切なのは笑いを忘れないことだと思うのです。成田美名子『CHIPHER』の続編『ALEXANDRITE』の終盤に、主人公アレックスにとって大切な人に出会うところで、ギリシア語「パリカリ」について語られます。
「ケフィ」は「楽しい」「意気揚々と」などfunに近い意味だそうです。楽しく自分が定めたところに従って戦う人を「パリカリ」と呼ぶ。学生時代、何も目指すことがなくてぼんやり生きていたわたしにとって灯火となる場面でした。これがきっかけで何ごとにも意気揚々と取り組めるようになった、わけではなく、冴えない人生ではあります。
でも、楽しむことを忘れてはいけない、そのために何ができるか分かるのは自分だけです。
わたしは笑顔を絶やさずに戦っていきたいと思うのです。
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