コケカツ(86)『失われた時を求めて(5)ゲルマントの方へ1』は笑劇場

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ドストエフスキー『悪霊』のアッパーさに挫折して、プルーストに戻ってきた。4巻が750ページ以上もあって時間がかかったのだけど、5巻は400ページちょっとなので、心なしかすいすい読める。

祖母の健康のために、語り手一家はゲルマント公爵夫人の敷地内に引っ越し。4巻では夏の日差しの元、アルベルチーヌをはじめとした若い女子といちゃいちゃハーレムもどきを繰り広げたのに、一転して驕奢な生活に戻る。公爵夫人の敷地内には、語り手たちだけでなく、門番やお針子たちまで住んでいるのだ。

女子たちと離れた語り手はまた貴族の付き合いに戻り、以前は熱を出すまで憧れた舞台を見ても平然としているくらい大人になった。前に見たときはただ有名な芝居ということに憧れ虜になっていたが、今回は芝居そのものの美しさを理解する。自分の観念と言葉の乖離に気づいちゃうあたりはソシュール味もあり、当時のあらゆる文化を網羅していると思わされる。

しかし語り手はそんな内省の中、ゲルマント公爵夫人から劇場内で挨拶された。されたと思ってるのは本人だけで、たぶん別の人に挨拶したんだと思うのですが。すると語り手はゲルマント公爵夫人に恋してしまい、ストーカーのように待ち伏せを始めるのです! 何歳差? すぐに恋に落ちてしまう癖はおかしいながらも身に覚えがないわけでもない。それにしたって待ち伏せて公爵夫人に嫌な顔をされてもせっせと通う場面は笑い8割哀しさ2割。若いうちからそんなことでは心配だよ。

混んでいる電車ではプルーストらしさを感じられなかったのですが、昨今の事情で他人に触れないくらいに空いていると電車の中でもプルーストを味わうことができるようです。この調子ですらりと読み終えて、現状残り2巻へたどり着きたいですね。

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