NHK-FMをはじめとしたラジオ録音をやめた理由をいろいろ思い出していたら、当時はブラック企業に入ってしまったり、一緒に暮らしてた猫が口内炎にかかったりで、激動の時代だったのも理由の一つだった。
ブラック企業というキーワードが表舞台に出始めた頃だったけど、まさか自分がそんなところに迷い込むとは思ってもみなかった。
聞いたことのない出版社だったけど、ちゃんと本を出したり他社のWebを請け負ってるというから変なことはないだろう。その時いた会社に比べたら生活していけるだけの給料はもらえそうだ、という消極的な理由で受けて、すんなり選考を通った。
初出社の日、9時始業なのに30人以上いるはずのところ、3人しかいない。以降もわたし以外に時間を守って出社する人は上司くらいだった。
なぜみんな時間を守らないのか。答えはタイムカードにある。どれだけ残業しても残業代が出ないのだ。よくこれで監査とおってたな。
みんなお昼に来て終電で帰っていく。その中で20時くらいに帰ってしまうわたしはそうとう異端だった。面と向かって言われたことはないけれど、上司は不満だったらしい。
次に、売上と費用の換算を誰もしないので、受けてきた仕事は全部やる。どれが赤字の仕事なのか誰も把握していないし、人のキャパシティなど考えていないので徹夜する人もざら。
校正紙が床にばらまかれて、その横で寝ている人がいたこともある。
そして容赦ない個人攻撃と教育体制の不備。隣の子は1年もたずに故郷へ帰っていった。
「前は参考書とかやってたんですけど、もっと自由な企画でやってみたくて」
そう言って力なく笑っていた彼は、興味のない出張と記事執筆に追われてみるみる体調が悪くなっていくが、わたしにはどうにもできなかった。
わたしは1年だけ在籍したのだけど約30人中辞めたのが5人。17%。個人的な年間ベスト退職率です。
わたしが辞めたきっかけは、契約にない大きい仕事を任されそうになったから。全く経験もなければ興味もない仕事を押しつけられて、
「こういう仕事は別の部署じゃないんですか?」
と聞いても要領を得ない返事だったので、わたしを潰すか辞めさせるかするための仕事だったのではないかと思っている。
辞めるときに当然問題になるのは未払いの残業代で、これは上司に言ってももらえるはずはないと入社当初から分かっていたこと。労働時間をすべてプリントアウトして労基署に持ち込めば、タイムカードを提出する義務は申告者側にはないようです。労働者の言い分と、会社のタイムカードを照らし合わせて、記録があれば会社側が勝ち。今回は毎日定時で帰っていることになっていたので、わたしの勝ち。
あの時をきっかけにまともな労働時間を記録する会社になってたらいいんですが、たぶん相変わらずなんだろーな。
法律というルールがあってもばれなければやったもの勝ち、という状況はこれだけインターネットが普及しても解決しない。そんなことあるのかな、法律はすべてWeb上で見ることができるのに、会社には適用されないって不思議。自動的にタイムカードのデータをアップロードして、労働時間の管理なんてすぐにもできそうなのに。
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