コケカツ(75)ジョージ・ソーンダーズ『十二月の十日』読書会

book

参加者は10名。プルーストを読んでいるけど縮小版で全部読んだことにしたいと言ったら「プルーストマニ車」を作ったらいいと教えてもらいました。回すと『失われた時を求めて』を読み通したのと同じ効力があります。側面にエクレアのくだりを刻んで、車の中に原典を入れた上で、プルーストの祝福を受ければ良さそう。

マニ車

ざっくりと参加者の意見を紹介します。
参加者は重たい本(鈍器)を愛好する人たちが多いので、おおむね「もっと重たい本を」と渇望していました。こわいですね。

【全体】
・上昇志向から抜け出せない:今のアメリカ格差社会のリアリティ
・帯には「ダメ人間」とあるけど、他人のことを考え、仕事もしているのでダメではない。規範・経済に追い詰められた人々の物語。
・それぞれの主観、その差を描く。視野狭窄の人々をつないで全体が見えてくる。
・「おはなし」なので、再読すると鮮度が下がる
・語り口・文体がおもしろいが、ミランダ・ジュライの方が一枚上手
・おもしろさの分、それぞれの作品でテイストがあまり変わらない
・批判的に書かないのは作家の優しさ
・全米ベストセラー1が不思議。裕福なリベラルに向けて書いているのだとしたら、貧困層を笑うことにならないか?
・表紙はセンプリカ・ガール日記はじめ、作中に出てくるモチーフ

【ビクトリー・ラン】
・ポジティブなのかネガティブなのか分からない
・ラストはどちらとも判断できないように書かれているのがうまい
・葛藤。最後は理性が勝つ(他の作品にも通じる)

【棒きれ】
・最終的にゴミになってしまうのが切ない
・何でも着せてしまうのは子どものよう

【子犬】
・格差の描写は作者の出身地テキサスらしさが出ている?

【スパイダーヘッドからの逃走】
・最もSFらしい作品。
・薬の名前がおもしろい:後で原文を調べたら、けっこうちがう。原文ではVivistifが「エレクチオンTM」。これは小池和夫先生レスペクトですよね!?

【訓告】
・ブラック企業。
・メールらしく文章が詰まっている。

【アル・ルーステン】
・みんなから評判がよかった
・司会をやってみたい。「さあ、パーッといくわよぉ!」

【センプリカ・ガール日記】
・設定はいいけど、未来への日記なのにSGの説明がないのは不自然。
・子どものためを思ってやったのにうまくいかなかった。子どもはきちんと育っていたのに失敗してしまう

【ホーム】
・町田康を彷彿とさせる
・貧乏が全部悪いんや

【わが騎士道、轟沈せり】
・○○ランドな設定をこの作者はよく使う
・「スパイダーヘッドからの逃走」に設定が似てる

【十二月の十日】
・何かを変えるために走ってる人たち
・状況は改善してないけど、精神的な救い。人は人と関わり、助け合うと気分が良くなる。

次回は4月11日(土)デニス・ジョンソン『海の乙女の惜しみなさ』(白水社エクス・リブリス)です。残席僅か!
参加ご希望の方はTwitterでお知らせください。

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