コケカツ(74)ジョージ・ソーンダーズ『十二月の十日』個人的まとめ

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ジョージ・ソーンダーズ『十二月の十日』読書会に向けてまとめておいたメモを公開することで、1回分の更新を稼ごうという腹です。
ネタバレあります。

・なんでアメリカ人はソーンダーズが好きなのかわからない:最近駒草出版から出てたナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー『フライデー・ブラック』もめっちゃソーンダーズだった。表題作は試し読みができる
・『リンカーンとさまよえる霊魂たち』でブッカー賞をとったということは、この文体で長篇もいけるのかも。
・一昔前の倫理観がおいていかれている→SFが現実になっている
・薬で自我が完全にコントロールされちゃう話はテッド・チャンにもあったはず
・人間ぶら下げてる話は奴隷制とかの名残って感じ。ビリー・ホリデイ「奇妙な果実」を彷彿とさせる。


・ラストは救いというよりはダメな人たちが勝手にダメになってるように見えて、感動とはちがうかな。

【ヴィクトリー・ラン】
New Yorkerで公開している。
・男子:カイル
・女子:アリスン
・原文さらっと読む限りはアリスンはかなりのませガキ
・ラストは殺してるのか殺してないのか断定できないように書かれている
・ジオードは『恋する小惑星』で出てきたね! 晶洞 

【棒きれ】
・偏屈なおやじさんがかかしを作るけど、死んだ後は売り地になって、次の人に捨てられる。諸行無常。

【子犬】
・貧しい家に生まれたけど幸せな結婚をしたマリー
・精神にハンデのある子どもを家につないでいるキャリー
・キャリーの家で子犬をわけてくれると聞いてマリーがキャリーの家に行くが、もらわずに帰る

【スパイダーヘッドからの逃走】
New Yorkerで公開されている。
・薬で実験される人間
・ラストは語り手もdeathドラッグをやって死ぬのだった
・幽体離脱は共同幻想って吉本隆明が言ってた

【訓告】
・ブラック企業
・やばい仕事でアンディが病む

【アル・ルーステン】
・コンプレックスたっぷりのルーステンがなぜかランウェイに出る
・母「横柄でデブ」
・ライバルのドンフリーの財布を蹴って隠してしまう。それを教えるかどうか逡巡する。痛々しくて見てられない。

【センプリカ・ガール日記】
・教訓めいた童話のよう(ひどさが現代的だけど)悪銭身につかず
・SGを手に入れた誇らしさは、読者から見ると気分が悪い・場違いなものに見える。でも、わたしたちも珍しいは虫類を飼ったり、奇形の犬をかわいいペットとして飼っている。そのちがいってほんのわずかで、「気持ち悪い」で終わらせてしまってはいけない。絶えず自分を省みる必要があるし、それは一人では無理で、他者との関わりで微調整していかないと。金があると倫理観が崩れるのは人の常ということか?
・書評:THIS WEEK IN FICTION: GEORGE SAUNDERS

【ホーム】
・軍隊上がりの青年が実家に帰ってきたのに、妻は別の男と結婚し、妹もちょっとセレブぽくなって、母は家から追い出される。
・何かあるたびに「おつとめに感謝します」と礼儀で返事する正しい人たち。偽善を風刺したコント。

【わが騎士道、轟沈せり】
・売れない役者が薬をやってテンションあげるけど、舞台の裏までしゃべってしまって首になる
・「スパイダーヘッドからの逃走」にちょっと似てる

【十二月の十日】
・語り手はロビン。転校生のスーザンを地底人から助ける妄想
・暖かいコートが脱ぎ捨てられてるのを見て現実に戻る
・作者は「ゆっくりと長引く死」をどうやってけりをつけるか、から着想したと言ってる

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