コケカツ(44)『これからのエリック・ホッファーのために』読了

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コケカツ!とは野山に分け入ってコケを見ること。撮るだけで採らない。

荒木優太『これからのエリック・ホッファーのために』を読んだ。この本も『プルーストを読む生活』に出てきたから気になってた。
副題は「在野研究者の生と心得」。おお、コケ研究者のためのような本だ、と思って手に取ったらほとんどが文系の執筆者に関する話だった。そりゃそうだな。もちろん熊楠などの生物系もいるけど、歴史的に見るとインパクトがあるのは森銑三、高群逸枝のような政治・社会に関する人たちだろう。

コケの研究史に興味があるのだけど、まとまった文献はたぶんない。詳しくないけど、コケの場合はユルバン・フォーリーが1873年に来日していくつもの発見をして名を残したあたりから始まったみたい。クジャクゴケの学名もフォーリー師からとられたんだって
大きな本にはならなくても蘚苔類学会や「三重生物」などの地方在住の生物学会誌によって、地道に研究が続けられてきた。「三重生物」については、3年前に見つけて詳細な情報に感動しました。コケは小さくて広範囲を探求するのは難しいから、自然と在野研究者が増えるのだろうと思います。

昨年末に文フリに行ったときも「評論」のブースが会場全体の約半分を占め、書評や独自研究書の熱気がすごかった。売れ行きまでは分からないけれども、みな楽しそうに出店しているのを見て驚いた。そりゃ、自分や友達が書いた本をつまらなそうに売るわけないけど、書いた人の自信を感じる。傲慢とか悪い意味ではなく、自分がおもしろいんだから他にもおもしろいと思ってくれる人がいるはず、という信頼感なのかも。

信頼感は惰性になると内輪に変わってしまうと思っていて、読書会も同じ参加者だけで回していると、外から人が入りづらくなる内輪感が出てしまうと思っている。内輪の線引きがどこにあるのか未だに分からないけど、内輪だけの盛り上がりにせず、一人でも多くの人を巻き込んで訳の分からない本を読んだり、いるかいないか分からないコケを見に行きたいと思っている。2020年の目標は内輪にならずに信頼度を上げられるような読書会やイベントを目論んでいきたい。

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