コケカツ(40)チャプスキ『収容所のプルースト』再読続き

Bryophytes

コケカツ!とは野山に分け入ってコケを見ること。撮るだけで採らない。

『収容所のプルースト』を再読して改めて名著という感慨を抱いた。しかし、いざプルーストを読み始めると、特に読まなくてもいい。プルーストへの助走としては最高の一冊だけど、いざプルーストの中に入りこんだ後は、著者の置かれた極寒の収容所でテキストなしにプルーストを語るという設定は必要ない。むしろチャプスキや仲間たちの代わりにどんどん読み込んでいこうという気持ちになる。

チャプスキは最後に、ポーランドが第二次世界大戦に突入して敗北し、大国のなすがままになった自国を追想します。

我が国は自由を取り戻すはずでした(中略)わたしが愛するものすべてが崩れ去った後に来たのは、ロシアの収容所であり、新たな楽観主義の復活でした。わたしは内在的な歴史の正義を信じたのです。

ロシアやドイツが世界を丸ごと自分たちの都合良く変えようとした、その態度は歴史的に許されないという正義を信じたと言うのです。収容所で明日にでも処刑されるかもしれないという切迫した時点で民主主義を信じ抜いたチャプスキは、すごい幸運で生き延びることができました。
わたしはいま、アメリカが一方的に起こそうとしている戦争についても同じ気持ちです。勝手な理屈で戦争を起こして自分たちの思い通りにいくと思っている、その浅はかさは絶対実現しないと固く信じています。楽観的かもしれませんが、悲観的になっていては行動に移すこともできない。楽観的だからこそ良い結果を信じて待つことができると思うのです。

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