コケカツ(22)岡村周諦「蘚苔類」

Bryophytes
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コケカツ!とは野山に分け入ってコケを見ること。撮るだけで採らない。

仕事で外回りがあったので、移動がてら神保町の古本屋を覗く。生物関連の本が中心になっている鳥海書房さんでとんでもない本を見つけた。
岡村周諦『岩波講座生物學 蘚苔類』。初版はなんと昭和5年5月15日である! 昭和5年て1930年、 E・L・カニグズバーグやジャック・デリダが生まれた年ですよ。少し黄ばんでいるものの、状態はすこぶる良くて破損などはないようす。書誌情報を見ると、コケだけでなく、動物実験なども手がけていたようです。あ、蘚類にオカムラゴケ(Okamuraea)ってあるけど、もしかしてこの人からつけられたのかな?

中をめくってみると、和名がひらがなだ。「ちゃうちんごけ」「ほうわうごけ」「ぎばうしごけ」など、古い読みのひらがなになるだけで味わい深い。

また、現在と和名が異なっていることもしばしば。現在のウロコゼニゴケ(Fossombronia)は「びらはごけ」。びらびらした葉っぱだからなのでしょう。おお、風情!
ヒメウルシゴケ(Jubulaceae)は「たてがみごけ科」。ちょっと星座のような趣まで出てきました。さらに「すりっぱごけ属」とはCololejeunea、現在のヒメクサリゴケ属です。あるかないか分からないくらい小さいコケに「すりっぱ」とひらがなで名付けられているだけで和む。
きわめつけは「をとめごけ」。可憐なコケを想像させます。これはHookeria、今のアブラゴケ。和名を変えずに「ヲトメゴケ」でも良かったのでは。
いやー、すごくいい買い物をした。

をとめごけ、ならぬアブラゴケ

をとめごけ、ならぬアブラゴケ

ほくほくしながら神田を歩いていたら、おしゃれなビルの敷地にジャゴケが這っている。こんなところにジャゴケがいるのが珍しくてしゃがんでみると、もっと濃い緑色のコケが。つ、ツノゴケだっ。神田の一等地にどうしてジャゴケとツノゴケが? このビル、2年くらい前に建てられたはずだけど、その頃から生き延びてきたとしたらすごいな。都心でもツノゴケは生きていられるんだ!

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