ガーディアンが選んだノンフィクション100選


Guardianの書籍紹介はNew York Timesと英語圏の書評サイト二大巨頭。そこでノンフィクションを100冊厳選しているので、邦訳の有無を調べてみました。 コメントの一部は後で。

【美術】

ロバート・ヒューズ『The Shock of the New』

ラファエル前派後期(変なカテゴリーだ)の画家とはちがう人。邦訳はなし。『西欧絵画における天国と地獄』が大修館書店から出ています。

エルンスト・ゴンブリッチ『美術の物語』(ファイドン)

「歴史上最も評価の高い美術書」として原始時代から現代までを幅広くカバーした美術書。しかし邦訳は結構なお値段ですね。

ジョン・バージャー『見るということ』(ちくま学芸文庫)

『G.』(邦訳なし)でブッカー賞を受賞している著者による、世代による視覚文化の変遷を研究した一冊。これが美術関連では最も入手しやすそう。

【伝記】

ジョルジョ・ヴァザーリ『画家・彫刻家・建築家列伝』(白水社)

ルネッサンスを作り上げた画家や彫刻家のエピソードを集めたもの。日本では白水Uブックスから3分冊になっています。立ち読みしてみたら渋い文章でおもしろそう。

ボズウェル『サミュエル・ヂョンスン伝(上・中・下)』(岩波文庫)

偉大な辞書編纂者の魅力を描いた大作。サミュエル・ジョンソンを知っていることが英国紳士のステータスらしい。みすず書房からは『ジョンソン博士の言葉 (大人の本棚)』、伊丹レイ子監修『ジョンソン博士語録』(パレード)として簡略版が出ている。さらに手に取りやすい『英国文化の巨人 サミュエル・ジョンソン』もある。

サミュエル・ピープス『サミュエル・ピープスの日記』(国文社)

「神に愛され、年末までとても健康でいることができた」から始まる王政復古期の風変わりでみずみずしい日記。邦訳はなんと全9巻! 公式サイトによると全10巻らしいですが、最後の年はまだ出版されていないようです。

リットン・ストレイチー『ヴィクトリア朝偉人伝』(みすず書房)

ロバート・グレーヴズ『さらば古きものよ』

映画が有名な『アラビアのロレンス』の著者による、幼少期から若い頃の結婚についての自伝。だが、この本の核は第1次世界大戦における残酷さと陳腐さについての説明にある。

ガートルード・スタイン『アリス・B・トクラスの自伝―わたしがパリで会った天才たち』(筑摩書房)

自伝を装って書かれているが、スタインの恋人の革新的な伝記である。

【文化】

スーザン・ソンタグ『反解釈』(ちくま学芸文庫)

本書に収録されている「キャンプについてのノート」について、「現代の傷つきやすい感性は、ユダヤ人の倫理とホモセクシュアルの美学によって形作られてきた」ってGuardianさんそんなまとめ方あり?

ロラン・バルト『神話作用』(現代思潮新社)

翻訳はあの篠沢教授だっ。

エドワード・サイード『オリエンタリズム』

【環境】

レイチェル・カーソン『沈黙の春』(新潮文庫)

化学物質による環境への影響を解説した本書は、アメリカの環境活動の出発点である。

ジェームズ・ラブロック『ガイアの復讐』(中央公論新社)

ラブロックによると、生命が地球上で自立すると、生き続けるために状況を整え、場所を受け入れさせるために革命的な働きをするんだそうです。

【歴史】

ヘロドトス『歴史』

ギリシアとペルシアの戦争を解説した本書から歴史は始まった。

エドワード・ギボン『ローマ帝国衰亡史』

最初の現代的なローマ帝国の歴史は古代の文献までさかのぼり、倫理の腐敗は避けられなかったことを論じている。ボードゲーム「帝国の興亡」にはまっていたころに存在を知りたかった……。

トーマス・マコーリー『The History of England』(未訳)

傑出したホイッグ史観者による重要な研究。

日本では戦後すぐに翻訳が出たきりのようです。ホイッグ史観の考え方も興味深い。

ハンナ・アーレント『イェルサレムのアイヒマン―悪の陳腐さについての報告』(みすず書房)

ナチスのアドルフ・アイヒマン裁判のレポートで、ホロコーストを心理学的・社会学的に調査している。

ちくま学芸文庫の『人間の条件』が代表作とされているようですね。

エドワード・P・トムスン『イングランド労働者階級の形成』(青弓社)

通常の歴史書では無名の民衆による政治的な役割に焦点を当てることで、トムスンは歴史を覆した。

それにしてもすごい大著だ。著者はエイリアンが地球で人間のふりをして生活するというSF『シカオス文書』も書いているそうです。

ディー・ブラウン『わが魂を聖地に埋めよ―アメリカ・インディアン闘争史』

ネイティブアメリカンが強制移住でアメリカ政府にどのように扱われたか。

スタッズ・ターケル『大恐慌!』(作品社)

ターケルは大恐慌についてのコメントを力強いタペストリーに織り上げた。

リシャルト・カプシチンスキ『Shah of Shahs』(未訳)

ポーランドの偉大なジャーナリストが語るイラン最後のシャーの物語。未訳。最近の邦訳には河出書房新社の世界文学全集に収められている『黒檀』があります。

エリック・ホブズボーム『20世紀の歴史―極端な時代』

20世紀の資本主義者と共産主義者の誤りが似ていることを図解した。

フィリップ・ゴーレイヴィッチ『ジェノサイドの丘―ルワンダ虐殺の隠された真実』

ゴーレイヴィッチはルワンダ大虐殺の恐ろしさと国際社会の過ちを記録した。

トニー・ジャット『ヨーロッパ戦後史 1945-1971』(みすず書房)

威厳ある解説によって1945年以降のヨーロッパの歴史を一望することができる。

【ジャーナリズム】

ジャネット・マルカム『ジャーナリストと殺人者』(白水社)

ジャーナリストの取引で生じる倫理的なジレンマを調べたもの。

トム・ウルフ『クール・クールLSD交感テスト』(太陽社)

ケン・キージー率いるヒッピーコミューンのメリー・プランクスターズと共に、白いスーツを着たトム・ウルフがLSDの靄の中アメリカ横断を敢行する。

マイケル・ハー『ディスパッチズ―ヴェトナム特電』(筑摩書房)

著者のベトナムでの経験を鮮烈な文章で描く。

【文学】

サミュエル・ジョンソン『イギリス詩人伝』(筑摩書房)

18世紀の詩人を伝記的・批評として研究し、詩人たちの人生と作品に懐疑的な目を向ける。

チヌア・アチェベ『An Image of Africa』(未訳)

西洋の帝国主義を議論するにあたり、コンラッドの『闇の奥』を差別的な小説だとして、アフリカの人間味溢れる特徴を引き出すことに成功している。

ブルーノ・ベッテルハイム『昔話の魔力』(評論社)

ベッテルハイムは、妖精物語が子供たちが恐がるのを利用して彼らの心をつかむ手段としたことについて論じている。

【数学】

ダグラス・R・ホフスタッター『ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環』(白揚社)

音楽・心理・数学の風変わりな瞑想によって、秩序だった複雑さと自分自身を探索する。

【自伝】

ジャン・ジャック・ルソー『告白』(岩波文庫)

ルソーは自分自身の生活を身近に説明することで、現代の自伝のありようを形作った。

フレデリック・ダグラス『数奇なる奴隷の半生―フレデリック・ダグラス自伝 (りぶらりあ選書) 』(法政大学出版局 )

この生き生きとした自伝は、奴隷自身の声を一般社会で聞くことになった最初期の一つである。

オスカー・ワイルド『獄中記』(角川文庫ソフィア)

レディング牢獄に囚われて、アルフレッド・ダグラスとの恋や、己の心の移ろいを物語にした。

トーマス・エドワード・ロレンス『知恵の七柱』

オスマン帝国への反乱におけるロレンスの偉業を、良い語り口で描く。

マハトマ・ガンディー『ガンジー自伝』 (中公文庫BIBLIO20世紀)

ジョージ・オーウェル『カタロニア讃歌』(ちくま学芸文庫)

アンネ・フランク『アンネの日記』(文春文庫)

ウラジミール・ナボコフ『ナボコフ自伝―記憶よ、語れ』(晶文社)

ウォレ・ショインカ『The Man Died』(未訳)

プリーモ・レーヴィ『周期律―元素追想 (プラネタリークラシクス) 』(工作舎 )

ローナ・セイジ『バッド・ブラッド―出自という受難』(清流出版)

【心理学】

シグムント・フロイト『夢判断』

【音楽】

チャールズ・ローゼン『The Romantic Generation』(未訳)

著者の邦訳に『ピアノ・ノート』(みすず書房)がある。

【哲学】

プラトン『饗宴』(岩波文庫)

マルクス・アウレーリウス『自省録』(岩波文庫)

モンテーニュ『エセー』

ロバート・バートン『恋愛解剖学』(桃源社)

ルネ・デカルト『省察』(ちくま学芸文庫)

ディヴィッド・ヒューム『自然宗教に関する対話―ヒューム宗教論集 2』(法政大学出版局)

イマニュエル・カント『純粋理性批判』

ヘーゲル『精神現象学』

ジョン・スチュアート・ミル『自由論』(岩波文庫)

フリードリヒ・ニーチェ『ツァラトゥストラ』

トーマス・クーン『科学革命の構造』(みすず書房)

【政治学】

孫子『新訂 孫子』(岩波文庫)

マキャベリ『君主論』(中央公論新社)

トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』

トマス・ペイン『人間の権利』(岩波文庫)

メアリ・ウルストンクラフト『女性の権利の擁護―政治および道徳問題の批判をこめて』(未来社)

カール・マルクス『新訳 共産党宣言――初版ブルクハルト版』(作品社)

W・E・B・デュボイス『黒人のたましい』(岩波文庫)

シモーヌ・ド・ボーヴォワール『決定版 第二の性〈1〉事実と神話』(新潮文庫)

フランツ・ファノン『地に呪われたる者』(みすず書房)

マーシャル・マクルーハン『メディアはマッサージである』(河出書房新社)

ジャーメイン・グリアー『去勢された女性』(ダイヤモンド社)

ノーム・チョムスキー、エドワード・ハーマン『マニュファクチャリング・コンセント マスメディアの政治経済学』

クレイ・シャーキー『みんな集まれ! ネットワークが世界を動かす』(筑摩書房)

【宗教学】

フレイザー『金枝篇』

ウィリアム・ジェイムズ『宗教的経験の諸相』

【科学】

チャールズ・ダーウィン『種の起源』

リチャード・ファインマン『物理法則はいかにして発見されたか』(岩波現代文庫)

ジェームズ・ワトソン『二重らせん』(講談社文庫)

リチャード・ドーキンス『利己的な遺伝子』(紀伊國屋書店)

スティーヴン・ホーキング『ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで』(ハヤカワ文庫NF)

【社会学】

クリスティーヌ・ド・ピザン『The Book of the City of Ladies』(未訳?)

エラスムス『痴愚神礼讃』(中央公論新社/中公クラシックス)

ヴォルテール『哲学書簡』(岩波文庫)

デュルケーム『自殺論』(中公文庫)

マックス・ウェーバー『マックス・ウェーバー―経済と社会』(文化書房博文社)

ヴァージニア・ウルフ『自分だけの部屋』(みすず書房)

ジェイムズ・エイジー/ウォーカー・エヴァンス『Let Us Now Praise Famous Men/名高き人々をいざ讃えん』(未訳)

ベティ・フリーダン『新しい女性の創造』(大和書房)

トルーマン・カポーティ『冷血』(新潮文庫)

ジョーン・ディディオン『ベツレヘムに向け、身を屈めて』(筑摩書房)

アレクサンダー・ソルジェニーツィン『収容所群島』

ミシェル・フーコー『監獄の誕生―監視と処罰』(新潮社)

ガブリエル・ガルシア=マルケス『誘拐の知らせ』(ちくま文庫)

【旅行記】

イブン・バットゥータ『大旅行記』

マーク・トウェイン『ヨーロッパ放浪記』

レベッカ・ウエスト『Black Lamb and Grey Falcon』(未訳)

ジャン・モリス『ヴェネツィア帝国への旅』(東京書籍)

パトリック・リー ファーマー 『ヨーロッパ徒歩旅行〈1〉贈物の時 (海外旅行選書) 』(図書出版社)

2011年6月に死去。

クラウディオ・マグリス『Danubio』(未訳)

『オーストリア文学とハプスブルク神話』(書肆風の薔薇)とは別か?

曹錦清『黄河辺的中国』(未訳)

W.G.ゼーバルト 『土星の環―イギリス行脚 (ゼーバルト・コレクション) 』(白水社)

ジョナサン・レイバン『Passage to Juneau』(未訳)

マリオ・バルガス=リョサ『若い小説家に宛てた手紙』(新潮社)

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