苔を見始めた頃は、コスギゴケとナミガタタチゴケの区別がつかなかった。どちらも都心に生える苔の中では木に似た形で垂直に伸びる。葉の堅い感じが全くちがうので、きちんと見分けられるようになったのは数ヶ月たってから。よく見ればもっとちがうところは他にもいっぱいあるのだけど、葉が放射状に出ていることが、まちがう原因になることが多かった。こうやって比較すると、葉の中心を走る中肋の有無や、葉の堅さ(細胞の多さ)などが異なる。また、苔の本ではたいてい代表的な蘚類としてスギゴケが取り上げられるが、実際都心で見かけるのはナミガタタチゴケの方がずっと多い。
コスギゴケはおそらく、一番蘚類らしい蘚類なのだと思う。ハマキゴケではちょっと小さすぎるし、アオギヌゴケ属ではやや頼りない。山奥にしか生えない苔ではみんなが見られないから「らしい」というイメージが成り立たない。ある程度都会でも見られて、それなりの大きさであること。この条件を満たすのがスギゴケ(コスギゴケ)なのではないか。
スギゴケには「凜とした」という形容詞が似合う。なので、毎週のように見ているのに、毎週のように写真を撮ってしまう。
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