自分で読書会を開催しているからには、他の読書会やイベントにも参加した方が勉強になるのはわかっている。進行や客層など、自分のところだけでは分からないことがたくさんあるから、参加者の立場になることが大切だ。でも、苔を見に行ったり自分の用事を優先しないといけないし、読書会になるとそれまでに課題図書を読まなければいけないから、どうしても時間が足りなくて、他のイベントに行くことが少ない。これはいつも反省するところ。
しかし、日本酒の会なら前もって読むべき本はないからすらりと行けるぞ。congiroさんのイベントは2年前の秋に日下無双を数年分いただく会に参加して以来2回目。読書会もたいてい参加者同士で話すようになると思うけど、日本酒もまた参加者の間を取り持ってくれてだいたい楽しく呑めるようになる。
今回のお題は「興味のない日本酒」ということで、単純に考えると普通酒とか灘大手の日本酒を選びそうだけど、他の参加者とかぶることを考えると安易な酒を選びたくない。さいわい、我が家の近くに生酒を中心に50種類以上仕入れている酒屋があるので、そこで考えよう。生酒はたいていおいしい。甘みと酸味がきいていて、料理に合うとは言えないかもしれないけど、じっくり味わうのに最適だと思う。そんな酒屋で一際異彩を放っていたのがこちら。
長野県にある市野屋商店が作るどぶろくは「その他の醸造酒」扱いで、実は日本酒ではないのだ。元々甘酒が苦手なのもあって、日本酒を呑むようになってからもどぶろくに手を出したことはなかったので、まさに「興味のない日本酒」筆頭。もう一つこの酒を選んだ理由は瓶。日本酒なのに広口瓶なのも初めて見た。このお酒を会場で全部飲み干してもらえば、苔テラリウムを作る瓶にぴったりの大きさではないか。
会場では空いているところに適当に座って、持ち寄った料理とともに周囲の人と歓談しながら呑む。1人1本持参しているので、お猪口に一杯ずつ呑むと大変な量になってしまうので、本当に一口で飲み干せる量だけをいただくことにした。もちろん日本酒一口につき、水一口のルールは徹底的に守る。さて、自分のどぶろくは酸味と辛みが中心で、どろどろの米が口に残るが、甘酒のイメージから来る甘みはほとんどない。暖めた方がうまいかもと参加者の方が燗をつけてくれたが、旨みだけが飛んでひどいことに……。これも受け売りだが、どぶろくは一度開けると発酵が進んで味が変わっていくそうなので、半分くらい残ったのはちみちみと自分で呑むことにした。
会場には生酒はもちろん、秋葉原とらのあなに売っていたという萌えキャラの日本酒(なぜか強烈な古酒感)や、越乃寒梅や獺祭のようなメジャーどころ、あげくにはファミリーマートで買った缶の純米酒を8年熟成させたなど、むしろ興味ある日本酒がたくさん。そして、近所の品揃えがいいと思っていた酒屋で扱っている日本酒は2種類(百十郎と越乃寒梅)しか見なかったので、日本にはたいそういろいろな日本酒が流通しているものだと感心する。
17時から始まった会は20時まであっという間に過ぎていく。最後に片付けてから、「興味のある日本酒」「呑んでみたけどやっぱり興味のない日本酒」の投票。わたしがおいしいと思った高千代生酒おりがらみがダントツで「興味がない」シールを投票されていて、やっぱりわたしの味覚は参加者の方々とちょっとちがうなーと改めて感じる。
知らない人と偶然同じテーブルで呑む、それもあるテーマがあってそれについて会話しながら呑むというのは得がたい経験です。楽しかったのでまた折を見て参加させていただければと思います。ありがとうございました!
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