読書部は隔月で「1人ではなんとなく読む気にならないけど、他人の意見は気になる」本について集まってお話する会です。今回の課題図書はレオ・ペルッツ『第三の魔弾』。1915年のドイツ文学ということで、区切りよく発行から100年目のタイミングで語り合うことができました。
[amazonjs asin=”4560072019″ locale=”JP” title=”第三の魔弾 (白水Uブックス)”]
いつもの通り、自己紹介時の感想のみです。本会中の発言は忙しくてメモしきれないので、気になる方は参加してください。そして大いにネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。
- メンドーサとグルムバッハが兄弟という設定は、カトリックとプロテスタントの関係
- 上記を理解するためには世界史の復習が必要
- 語り手誰なんだ問題(全体を見通す存在が不思議に思える)
- WW1以前のドイツにはエルンスト・ユンガーやレオ・ペルッツのようなマジック・リアリズムと思しき作家がいたらしい?
- 最後までテンションが高いので悲劇でも少年漫画ぽい
- レオ・ペルッツの他の作品に比べると伏線回収など甘いところがある(梅ペルッツ)
- 松ペルッツは『夜毎に石の橋の下で』や『スウェーデンの騎士』あたりか
- グルムバッハが新教徒代表、メンドーサが旧教徒、ダリラは新大陸の象徴
- ボルヘスがレオ・ペルッツ推しだったのでアルゼンチンで実は人気がある
- 訳が古く訳者がまじめだが、そこが却っておもしろみになっている
なお、語り手誰なんだ問題は、当初名もない兵士だったのが徐々にグルムバッハに入れ替わっていく、という説が多数の納得を得ました。とはいえ若干の無理があるかも、と。
ハプスブルク家の絶頂期を舞台にしており、フランス以外のほとんどに支配力を持っていたカール5世の時代にスペインとドイツが争うという構図はいわば身内の争いであり、どこの国でも身内での分裂は避けられないものだなあと嘆息する次第です。
次回は12月12日(土)、課題図書はリチャード・パワーズ『オルフェオ』です。さらにイレギュラーでジーン・ウルフ『ナイト1・2』の読書会を11月21日(土)に開催予定。読書の秋といえども、すごい作家の作品が目白押しなので、いつもより多く読書会を行います。
[amazonjs asin=”4336058938″ locale=”JP” title=”スウェーデンの騎士”]
[amazonjs asin=”4336055173″ locale=”JP” title=”夜毎に石の橋の下で”]
コメント