苔湯酒活動とは、山に登って苔を見て、下山したら風呂に浸かり酒を飲む活動のことである。今回も埼玉県越生町にある黒山三滝。
池袋から急行に乗り、坂戸駅で乗り換えて終点越生駅で下りるのは7月といっしょ。「おごせ散策きっぷ」なるものがあることを発見し、購入。電車の往復代金プラス300円でバスが全行程無料になるので、実質バス片道分が無料になる。さらに越生駅付近の施設を利用すれば割引も受けられるので、黒山三滝で苔を見て、ニューサンピアおごせで温泉(780円→600円、タオルなし)に入って帰宅、というスケジュール。
この週は台風17号と18号がセットで日本に近づき、17号の影響で茨城県や宮城県で河川の氾濫がおこった。当初目的にしていた奥多摩方面でも増水して崖崩れなどが発生している地域もあると目にしたので、急遽目的地を変更。同じところに行っても、苔をすべて見尽くすなんてできないので、これはこれで復習のように臨みたい。
今回目についたのはキヨスミイトゴケ(Barbella flagellifera)。どの図鑑でも「樹上から垂れ下がる」とあるが、石灰岩から生えている個体もいた。もしかすると石灰岩から直接生えているのではなく、石灰岩から生えている別の苔に付着していたのかもしれない。
黒山三滝付近はホソバオキナゴケ(Leucobryum juniperoideum)やシノブゴケ(Thuidium)が多い。一方、奥多摩でよく見るネズミノオゴケ以外にもホウオウゴケやジャゴケが少ない。ホソバオキナゴケは木に付着するので石灰岩は影響しないが、他の種は石灰岩の好き嫌いが影響しているのかも。
今回出会った苔かどうかすらわからない植物。枯れて茶色なわけではなく、元々この色のように見える。シッポゴケ(Dicranaceae)のような細さだが、図鑑をざっと見る限り茶色の種は見当たらない。このように調べても分類できない種が見つかるのがまた楽しい。頭のどこかにひっかかっていて、ふとした拍子に解決することがある。
胞子を放つ蒴がいつできるか、ということまでは図鑑には書かれていないことが多い。おおむね3月はまちがいなく、続いて9月頃にも蒴をつける種類がありそう。今回もいくつか蒴をつけている種類を目にした。蒴はカメラのピントがまったく合わず、撮影が難しい。奇跡的に蒴にピントがあっても蒴柄が長いと葉の方が写らないので、両方撮影しておく必要がある。
雨が降った後なのでどれもキラキラしている。苔を見に行くときは決まって雨上がりが多く、くわえてカメラのフラッシュがないと真っ暗になってしまうので、どうしても本来の色味にならないのは半ば諦めている。
帰りのニューサンピアおごせにある「梅の湯」は平日ということもあり、誰もいなかった。広い風呂を独占できるのはうれしいが、休憩室には空調が入っていないし、食堂の店員も不在。ホテルやプールの施設がしっかりしているのはうれしいが、土日だけの収入で運営していけるのだろうか……。
コメント