2015年4月に読んだ本

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4月は梨木香歩の旅行記を読んだので(個人的に)冊数は多い。苔を本格的に見るようになったので、自然を見る目を本から養いたいと考えていたのだった。

2015年4月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2482ページ
ナイス数:115ナイス

すゞしろ日記 弐すゞしろ日記 弐
読了日:4月26日 著者:山口晃

現代ミステリーの収穫〈2〉壁 (扶桑社ミステリー)現代ミステリーの収穫〈2〉壁 (扶桑社ミステリー)
読了日:4月26日 著者:マーシャマラー

すゞしろ日記すゞしろ日記感想
山口晃の画力と博識を美術館で見ているせいか、単にゆるいエッセイ漫画にとどまらない力を感じる。例えるなら、和食の鉄人がおかゆを作ってくれるような、確かな力に支えられた人間味が滋味深く出ている。毎回オチにこだわっているが、そことは別になぜだか笑える。目前の人や事象を謙虚に観察してそのまま絵にする、そのフィルター自体を読者はおもしろがるのだと思った。手元に置いて疲れたときや煮詰まったときにふと開きたい本。
読了日:4月23日 著者:山口晃

しだ・こけ (新装版山溪フィールドブックス)しだ・こけ (新装版山溪フィールドブックス)感想
シダ類までの興味はまだないので、苔のみ……。図鑑として引いた絵と接写の両方が多めに掲載されているので、実際の手引きとしてわかりやすい。掲載されている数も多く、セイタカスギゴケなど写真としても美しい。とはいえ、自分の写真と比較しても「本当にこの種類でいいのか?」と悩んでしまうのは、観察の経験値が少ないせいなのだろう。仕方ないことだが、シダ類と一緒のために掲載数・文章が少ないのも事実で、シダ類・苔類別々の本にしてほしいというのが正直なところ。持ち運びやすいし紙質も丈夫そうなので観察時に便利なのはうれしい。
読了日:4月22日 著者:岩月善之助,伊沢正名

ストーナーストーナー感想
これはよろこびの小説。ストーナーは文学の美しさを見いだし、邁進し、結婚して子どもができて恋人がいた。これはかなしみの小説。ストーナーは仲違いと誤解と別離を経験した。これはいかりの小説。ストーナーは人から貶められ、戦争は人々から多くの喜ばしい可能性を奪っていった。これはしあわせの小説。ストーナーは貧困と無知から希望の光を見いだし、たとえ忘れられた本一冊しかものさなかったとしても、多くの人々に愛の力を与えた。学生に、あなたに、わたしに。
読了日:4月20日 著者:ジョン・ウィリアムズ

新川和江詩集 (現代詩文庫 第 1期64)新川和江詩集 (現代詩文庫 第 1期64)感想
一見やさしい言葉に潜む存在そのものの痛々しさ。男がはいりこめない、どうやってもかなわない、広すぎる空を見て逆に落ちてしまいそうに感じる、そんなおそろしさで言葉が編み込まれている。一方で「ふゆのさくら」「わたしを束ねないで」のように人としてこころが通じあうがゆえに拒絶せざるをえない儚さを描く言葉もまた魅力。好きだけどたくさん摂取すると毒になるような、自らの消化酵素の乏しさを思い知らされる詩人。
読了日:4月19日 著者:新川和江

エストニア紀行―森の苔・庭の木漏れ日・海の葦エストニア紀行―森の苔・庭の木漏れ日・海の葦感想
著者が編集者たちとエストニアを旅をした記録がいくつかの雑誌に分かれて掲載されていた内容を編纂したエッセイ。『水辺にて』『渡りの足跡』のような、自分と自然とのかかわりが強く出ている本と少し異なる。個人的な観点よりも、その地で生きる人々と自然との全体的な関係性をとらえようとするのが本書の特徴。「人は他の生物にこんなに嫌われている」と自らも罪深い生物であることを悔いたり、同行者に怪談を披露するお茶目さなど、他者がいることで著者の人間的な面がより強く感じられた。
読了日:4月19日 著者:梨木香歩

中野重治詩集 (岩波文庫)中野重治詩集 (岩波文庫)感想
鎌で草を刈った後で水分がにじみ出してくるように、ぼたりぼたりと言葉がしたたってくる。その言葉は権力に、読者につきつけられる。苛烈でありずっしりと重たくわたしたちをぬらす。わたしは彼に反駁する言葉を持たない。妥協の一切ない、息苦しさの中にやさしさの光明がさす民衆詩。これこそが「一生懸命」なのだ。
読了日:4月12日 著者:中野重治

少説・けっこう仮面 (ソノラマ文庫)少説・けっこう仮面 (ソノラマ文庫)感想
思想的な赤さと変態さ、しっかり局部まで描いてあるイラストに驚き笑う。25年前は朝日ソノラマでこのイラストが怒られなかった、その一点だけで読み進めた。宇宙パートが全然話に絡まないことと、ガールズがすぐに「お願い、堪忍して…」と無力化されるのに脱力(巨乳の女性はヘルシーな筋肉を見ると力が抜けるのだ!)するが、これはこういうもの。これだけ「オシオキ」というカタカナを続けて読んだのは初めてだぜ……、そして人としてダメの一線を越えた台詞続出で、読まなくても人生に1ミリも影響ありません!
読了日:4月11日 著者:十川誠志

水辺にて on the water / off the water (ちくま文庫)水辺にて on the water / off the water (ちくま文庫)感想
前に梨木香歩を集中して読んだ時と向き合い方が変わった。以前は物語の美しさにまず心引かれていたが、前回読んだ『渡りの足跡』とともに生命というのは人間だけで回しているものではないことをより強く意識させられる。そして寿命。知性でも体力でも寿命でも己の限界があり、そこにどうやって挑むか。自らの正しさを過信しない姿勢と弱さと未来を見続ける志、どれもに憧れてやまないが、一方で自分は自分、今もっている道具で先に進まなければいけないと決意するきっかけともなった。
読了日:4月5日 著者:梨木香歩

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