日常

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冬はほぼ毎日おでんが晩メシだ。野菜を摂取できるし、日本酒に合うし、刺激が少ない。一日をしめくくる食べ物として最適だと思うが、酔っ払うとついチャーハンを炒めたりするので、別にこれでしめくくっているわけではない。

先日、横浜駅の近くで会社の人たちとおねえさんたちがいるお店で呑もうという話になった。高くてまずくて知らない人に話合わせるのやだなーと思っていた折、「もう1人くるまでここで呑むか」と川の近くに並ぶおでん屋台に入ることにした。川の風が身にしみる中、いそいそと入った店には既に先客が2組。中央に琺瑯でできた大きなおでんのトレイが2組据えられ、周囲を客が囲み、出口付近にママさんがいる。基本はビールすらない。日本酒かウーロンハイ。銘柄だって剣菱があれば、知らない酒も出てくる。先客が酔った勢いで自腹で安い泡ワインを開け、徳利をもらえば知らない客と注ぎ合う。こんなおおらかな店は初めてだと思い、同行する人は選ぶがまたぜひ来たいと思わされる店だった。ママさんの人徳もあるが、周囲の客の勢いがその日の空気を決める。静かに終わる日もあるだろうし、金曜の夜はわたしが行った日のようにはじけることもあるのだろう、勢いが良すぎて帰る客が屋台を壊してしまい、しばらく難儀していたことを覚えている。

その日、わたしにとって本当に衝撃的だったのは、他でもないおでんのおいしさだ。利尻の高級昆布を使っているわけではないだろうし、削り立ての鰹節を使っているわけでもないだろう。大五郎のペットボトルに詰められた薄い色の出汁は、いったん琺瑯鍋に入って温まると、高級店に勝るとも劣らない出汁に変身する。そして、その出汁を使ってママさんが作る練り辛子こそが、本当のうまさの秘密だと思った。わたしはそれまで2年以上おでんを毎週作り続けていたけれども、辛子を出汁でとくという発想はなかった。結果として辛さと味がなじんだ練り辛子になる。寄り添う感じが人にもおでんにも必要だと思った夜であった。

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