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コケカツ(92)ゼーバルト『アウステルリッツ』冒頭から

ゼーバルト『アウステルリッツ』は著者と思しき語り手が、アントワープ中央駅の待合人の中からアウステルリッツを見出すシーンから始まります。 語り手はアントワープの「夜行獣館」で木菟や原猿類の丸々とした「射すような」目について語る。右ページに獣...
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コケカツ(91)ゼーバルト『アウステルリッツ』の肌になじむ感じ

すっかり春めいたけれども、コロナウイルスのせいで外出に自粛勧告が出て、人が集う形式の店舗や業態が軒並み経済的打撃を受けている。 一方で出版は好調で、書店や出版社から売上が伸びているという話を聞く。業界の片隅に身を置く者としては早く収束して...
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コケカツ(90)今度こそネタバレありで劇場版SHIROBAKO

劇場版SHIROBAKO2回目を見てきました。初回は音響設備は最高だけど7.1chの映画館ではなかったので、どうちがうのか気になって。 全体的に響く音で、ところによっては座席が震えるくらい。特にラスト前の宮森さんが周囲から聞きたく...
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コケカツ(89)『ヴァルザーの詩と小品』

ゼーバルト『鄙の宿』で力の入り方がちがう文章を読んで存在を知ったローベルト・ヴァルザー。 全集も訳されていますが、まずは小手調べとみすず書房から出ている本作を手に取りました。このエメラルドグリーンのような色、「大人の本棚」というシ...
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コケカツ(88)劇場版SHIROBAKOおもしろかったす

YouTube貼りますが、見ないで行った方がいいと思います。 あと、テレビ版見ないで行くのは全く無意味。テレビ版あっての劇場版です。 ネタバレありです! ネタバレというか、小笠原綸子様信者としてはプライベートタイムを垣...
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コケカツ(87) SHIROBAKOおもしろいので明日映画行きます

「ユーフォ」とか好きなので現実的にがんばる群像劇は基本的に好きなんだと思う。でも、『働きマン』みたいにヒーロー味が出ると途端に嘘くさく感じて苦手。物語として勝利することが前提で語られると、わたしは関係ないかなと思う。「SHIROBAKO」が...
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コケカツ(86)『失われた時を求めて(5)ゲルマントの方へ1』は笑劇場

ドストエフスキー『悪霊』のアッパーさに挫折して、プルーストに戻ってきた。4巻が750ページ以上もあって時間がかかったのだけど、5巻は400ページちょっとなので、心なしかすいすい読める。 祖母の健康のために、語り手一...
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コケカツ(85)好きと名作の間

すばらしい作品と思っても、一度見たり読んだりしたら十分だなと思う作品を「名作」と言っていいのか。何度も見返したくなる作品は好きと言い切れるけど、そうでないものを「名作」と言っていいのか、自分には葛藤がある。 書籍だと、プルーストはたぶ...
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コケカツ(84)御前山でコケ探索

結論から言うと、御前山は杉ばかりなのであんまりコケなかったです。 奥多摩に苔を見に行くようになり、低地にはそこそこ種類があることは分かってきました。低地といっても海抜800mくらいあるので、苔の本で「低地」に生えているようなヒョウタン...
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コケカツ(83)ゼーバルト『鄙の宿』(2)ローベルト・ヴァルザー

ゼーバルト『鄙の宿』は作家論というには短く、書評というには長い。作家のたどった運命と本の関係について語られるけど、それは日本の評論とはちょっとちがう気がする。うまく言えないんだけど、紹介されているのが1800年代の作家と...