東京国立博物館 本館リニューアル記念特別公開

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東京国立博物館の2011年初日に行ってきた。本館リニューアル記念特別公開であります。公式サイトを見ると、去年の暮れからくるくると展示品が変わっているようですが、それでも今回の展示が600円というのは破格。もっともしがないサラリーマンとしては特別展もこのくらいのお値段になったらいいなあ、と新年のお祈りをしつつ。9:15くらいに着いたところ、すでに50人くらいの行列ができており、開館までにはさらに倍以上の人数になっていました。お昼前にはさらに列が増えており、美術市場は案外盛況だなと思う。それとも「勉強したい」層が多いのか。

荘重な建物に入り、正面の階段を上り、この日のために生けられた花を横目に、まずは混雑した左側を避けて、右の仏教美術へ。ここでの目玉は雪舟による国宝「秋冬山水図」2幅。山水画は物理法則を無視したような鋭い崖が一つの見所だと思うのですが、「冬」の方は画面の中央に空中へ伸びていく崖のようなものが描かれており、細かいことは分からないけれどもとにかく寒くて厳しい印象です。

国宝「古今和歌集」や「熊野懐紙」などの書は、やはり現代日本人には読めないためとても人気がない。反対側にかけられている本展の目玉「風神雷神図」に比べると可哀想になるくらい。最近は大学入試などでも古典や漢文が除外されているみたいですが、豊かな歴史を持つ書を楽しめるような若い層を育てるのも大切なのではと思いつつ、専攻していたにも関わらずまったく読めない自分の不明を恥じるばかりです。

狩野永徳「檜図屏風」は昨年の特別展でも見たが、改めて名言「芸術は爆発だ」を彷彿させる見事な枝振り。屏風にはついて離れぬ縦の切れ目を、横綱のような力強さで左幅にぐいぐい侵入していく枝。

尾形光琳「風神雷神図屏風」も特別展よりはゆったり見られて改めて発見が多かった。おそらく風神雷神を先に描いてから黒雲を足したのだろうと分かる。宗達の場合は中心に重心が感じられて風神と雷神が等格だが、本作の場合は左からの風の流れが雷神の髪や帯に吹きつけ、さらに流れた風が右の風神に伝わっていくのが見える。神様たちの視線は中央に集まっているが、宗達よりも直線的な風の流れが感じられて、左から右へと流れていく印象が強い。

後はなんと言っても北斎「富嶽三十六景」。去年の夏に大田美術館で見たばかりだけれども、改めて独創力に目を見張る。東京から東海に住んでいる人は一度は見ておくべき歴史のワンシーン。折しも1/2の夜にNHK総合で葛飾北斎のGreat Waveに関する番組を放送していたりもした。浅草本願寺の屋根へのズームインや、駿州江尻で風に飛ばされる傘や紙の発想力は何度見ても脱帽する。今回の展示は約半分で、その中でも作っている桶から富士が見える「尾州不二見原」等がないのは残念ですが、それでも欠かせない展示の一つです。そのほかにもスタンプ押したり太鼓叩いたり紙切りがあったりと盛りだくさんの展覧会。特別展のように一カ所に集中することもあまりなく、余裕があるところが何よりもおすすめできる理由です。

初めて入ったミュージアムショップでは日本美術に関する本がとにかく豊富で、各地の美術館の図録まで購入できるのはすごい。また一般書籍も充実していて、中でも『北斎 冨嶽三十六景の旅 天才絵師が描いた風景を歩く』(別冊太陽 太陽の地図帖)は富嶽三十六景の地図上の位置や現状を取材していておもしろそう。読みます。

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