堀江貴文『ゼロ』は働く人なら一度は読むべき


なるほどこれは良書。同世代とはいえ、渦中の時には全く興味のなかった堀江貴文氏だが、今回敢えて手にとったのは、自分自身が働くことについて考えているからだ。今、自分は岐路に立たされており、比較的早く決着をつけて新しい道に進まなければならない。おそらくはこれまでと違った業種、違った勤務形態で働くことになるだろう。まったく新しい世界で働くことについて考えているとき、cakesで公開されている記事を読んで、本も読んでみようと思ったのだ。

ビジネス書なんてそれほど新しいことが書いてあるわけではないと思ってる。手を変え品を変え働くことについて書かれていることには変わらない。ちょっと上の年になる著者と自分との違いと似ているところを読んで、自分とは改めて生き方がちがうな、と思った。しかし参考になるところは参考にしていきたい、そのくらい著者自身(ライター)が距離感を持って書いているので、安心して読める。ゴシップ的な話題性ばかりが取り上げられそうですが、飲み屋で著者の人生を聞くくらいの感じで読みやすいです。

自分とは違うところ。それは著者が「没頭する」能力が高いことだ。いろいろ好奇心はあって興味の範囲も広いのだろうが、寝食を忘れて仕事なり趣味なりに没頭できるところがすごい。それは普通の人はなかなか得ようとして得られないことだ。わたしの場合はついつい「昼メシ何食おう」とか「帰ったら録画したテレビ見よう」とか頭に浮かんでしまう。著者も多少はそういうところはあるのだろうが、それでも携わっていることから目を背けずにがっちり取り組んでいるんだろう、ということは伝わってきた。普通の人が真似するにはたぶん好奇心の範囲を狭めて、目の前のことに集中する時間をしっかり取る計画性が必要ではないかな。人間的なパワーの違いを感じます。

40歳を目の前にすると、自分が何のために働いているのか、なんてことを考えるようになったりする。それは仕事に対する余裕だったり、人生の半ばという時間的位置のせいもあるんだろうが、単に金を稼ぐこと、また金を稼ぐために自分に何ができるのか、ということを考えるのに、本書はひとつの道筋をつけてくれる。猫と酒と小説があればいいと思っているようなわたしが著者と会ってもまったく噛み合わないとは思うが、間違っていることに間違ってると言ってしまう身も蓋もなさは共感した。わたしの場合、それをきちんと仕事に還元してこなかったせいで、今の苦境がある。言うからには行いも伴わなければ、と痛感したことです。

ただ、起業大好きな人ってどうして他人にも起業を勧めるのだろう。それをすることで相談所としての自分の価値を高められるのだろうか。わたしは他人がどうしようとほっといたらいいのに、と思ってしまうが、それがよくないのかな。

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