苔をたずねて三千里

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ナボコフ『絶望』読書会

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去る11月16日、都内某所にてナボコフ『絶望』(光文社新訳文庫)の読書会が開催された。人数は9人。ナボコフというとどうしても敷居が高い。海外文学の金字塔と言っても過言ではない。そんな本をこういう機会だから読もうと集まってくださった方がこんなにいることに感謝です。

最初の感想の段階では、

  • 主人公ゲルマンにイライラした。
  • 初読では素直に騙されたが、2回めはすべてを疑ってかかってしまった。
  • 色彩の描写が序盤では目立つが、後半追い詰められてきてからは減ってくるような気がする。
  • 信頼出来ない語り手問題。
  • 「ナボコフを読む」という姿勢になり、細かいところばかりに目が行ってしまう。
  • パズルを解く感覚に似ている。

という意見がありました。

この中で特に大事なのが、「2回読む」こと。初読の時には不思議に思える表現が、実は彼の記憶の作り出した言葉であり、信頼出来ないというよりもある時点から語るとこうなる、という仕掛けがあることがこの本の最大の魅力なのではないでしょうか。

また、色彩の描写がすごく印象的で、黄色や青などの原色が多用されているように思われました。ただ、現実では異なる色が用いられたりする場面(ポストの色)もあり、そのあたりまではさすがに解き明かせず。

後半はzumi氏の作ってくれたレジュメに沿って話を進めていくことに。解説にもある「似ている」「似ていない」というテーマ、それがゲルマンの「見る」「見ない」という選択につながるところなど、実にしっかりまとまっていて、参加者の意見を引き出す良いきっかけになりました。この場で改めて御礼を申し上げます。いずれきっとどこかにアップされることでしょう。

描写がきちんとつながっているので、話せば話すほどネタが出てくるのが『絶望』にかぎらないナボコフの魅力かもしれません。とはいえ『絶望』よりも読んでいて楽しい作品はたくさんあるので、とりあえず未読の方には『ディフェンス』『ニコライ・ゴーゴリ』『ナボコフ全短篇』の3冊をお薦めします。全短篇の電線がうねうねする話が最高ですので、ぜひ。

次回読書会は1月中旬、場所は未定、課題図書はミシェル・ウエルベック『地図と領土』だそうです。詳細は三柴ゆよし氏のサイトまで。

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