苔をたずねて三千里

苔の写真を撮り、海外文学を読んでいます。

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年末古本ツアーの先には幻の魚と幻の絵本が待っていた

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クリスマス以降は腰や喉が痛くて、「風邪か?」と思うものの身体は正常に動いている。喉は空気が乾燥しているせい、腰は自分の姿勢が悪いせいにして古本ツアー参戦。今回は人数が多いので広めの店ということで、中野〜荻窪を回った。

  • 江川卓『ドストエフスキー』(岩波新書)
  • 中野好夫『英文学夜ばなし』(岩波同時代ライブラリー)
  • 『ゴーリキー短篇集』(岩波文庫)
  • ドストエフスキー『罪と罰(1)〜(3)』(光文社古典新訳文庫)
  • 大島弓子『ディーゼルカー』(飛鳥新社)

ナボコフの文学講義が来年は文庫で出るらしいので、そのためには先に古典を読んでおかなければいけない。ナボコフは嫌っているが、世評は高いドストエフスキー『罪と罰』を購入。一方的に嫌いな人の意見だけではいけないということで、ロシア文学の泰斗による解説書も合わせて読み、自分の読みをより膨らませることができたらいいなという試み。

中野好夫『風前雨後』は、英文学だけでなく漱石などの日本文学、さらには歴史や政治についてまで幅広く書かれていて、感傷に堕さず理知によって解説されるので読んでいて気持ちがいい。『英文学夜ばなし』はその勢いが英文学に集中しているはず。ぺらぺらとめくってガルガンチュア物語の翻訳を比べる箇所で、訳によって罵倒語が増減していることに気づくと「アッと驚くタメゴローという次第」。なんてお茶目。

ナボコフのロシア文学講義でゴーリキーが取り上げられているのは「筏の上で」の1編のみ。しかしツアー中にはそんなことはつゆ知らず、珍しさのみで手を出した『ゴーリキー短篇集』には残念ながら「筏の上で」は未収録。ゴーリキーは幼少時から苦労続きで自殺未遂や逮捕までされるが、やがて人の縁によって新聞社に勤め始める。そんなゴーリキーを評して、

ゴーリキーは現代ロシアの生活の苦々しい真実を激しく描いた。しかも、ゆるがぬ人間信仰は文章の隅々まで浸透していた。

とあるのだから避けては通れない。収録作は以下の通り。

  • イゼルギリ婆さん
  • チェルカッシ
  • 秋の一夜
  • 二十六人の男と一人の少女
  • 鷹の歌
  • 海つばめの歌
  • 零落者の群

ちょっと早い晩メシは荻窪「鳥もと 本店」。井伏鱒二も来店したことがあるという触れ込みで決定したが、食べログポイントは当てにならないことをまたも確信した名店。入店するなり相席になったグループが次々とおすすめを押しつけてくるが、いかにも酒場という感じでいやみがない。つくねやレバーなどの新鮮さに加え、北海道直送の珍しい魚や料理がとてつもなくうまい。ウズラの姿焼きやほっけの切込み(生のほっけを〆たもの)など、他店では味わえない料理ばかり。そして安い! 中央線沿線ツアーの時には必ず再訪したい、しなければならないお店。

熱燗でふらふらになりながらも新宿駅で降りて紀伊國屋書店へ。『うどんのうーさん』『ちくわのわーさん」という驚愕の絵本を探しに訪れると、21世紀最大の驚きがわたしを待ち構えていた。なんと大島弓子『ディーゼルカー』復刊! 18歳で初めて大島弓子に出会ってからあらゆる古本屋を探したものの見つからなかった一冊が今年最後に買う本になるとは!

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