コケカツ(15)テッド・チャン『息吹』その2

Bryophytes

コケカツ!とは野山に分け入ってコケを見ること。撮るだけで採らない。

引き続きテッド・チャンを読んでいるが、一方で図書館から3冊も借りてしまう。おもしろそうな本の守備範囲が、文フリ行ってから広がった気がする。こういうのはこうおもしろいんだ、と他の人のおもしろがりかたを見て、自分でもおもしろいと思える。そういう真似をどんどんしていきたい。感受性なんて大人になればすり減っていく一方だから、他者からの影響はできるだけ素直に受け取りたい。

ネタバレが分かっていない人が書いています。
ネタバレがあるかもしれませんのでご注意ください!

「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」
他人の足をひっぱって怒られるのがこわいからオンラインゲームは避けているけど、すごくはまっている人が仮想の人格になってしまう気持ちは想像できる。でも、そういうデータを他人がコピーして利用することへの嫌悪感というのは、この物語で綴られているほどにはわたしには共感できない。世間ではAIBOの葬式も執り行われるけど、わたしは生体じゃないものに本作のように愛着をもてない。
あれ、ディジエントってデータだよね? パワードスーツみたいなのを着込んでダンスしてたら部屋のもの壊したというから、実体のないデータだと思い込んでるけど、どうなんだろ。
ラストも「え、終わっちゃうの……」という場所だったので消化不良のまま。

「デイシー式全自動ナニー」
ナニーって一般的な訳語なんだろうか。昔だったら『夏への扉』の文化女中器みたいな訳になるのかもしれないけど、今はどうしたらいいんだろ。素直に「乳母」と思って読む。
これも「そうなるかな?」と心の腕組みが解けない極端な設定に見える。ただ、もの悲しくも救われるようなラストは好き。

「偽りのない事実、偽りのない気持ち」
私的領域で必要以上に正確さを追求することの不幸、正確な記録と不確かな記憶について描く。過去にいろいろやらかした人にはつらいテーマ。
2つの物語がテーマは近いものの有機的な関連性をもたないので、ラストは狐につままれたような気持ちになった。

あれ、わたしテッド・チャン苦手なのかな?

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