コケカツ(13)オリンピックゴケ

一応絶滅危惧種のカビゴケ Bryophytes

コケカツ!とは野山に分け入ってコケを見ること。撮るだけで採らない。

写真は一応絶滅危惧種Ⅰ類のカビゴケ。けっこういっぱいいる。

オリンピックが近いにもかかわらず、全く話題にならないオリンピックゴケ(Brachydontium olympicum)(平凡社の図鑑ではスガダイラゴケ・絶滅危惧種Ⅰ類)。北海道や本州の山奥、北米の寒い場所でしか見つかっていないので、ふつうの人は見ることができない。わたしも見たことがない。
そもそもオリンピックの名前も、スポーツのオリンピックではなく、オリンピック山で発見されたことが由来。氷河期から生き延びてきて、当時は日本と北米が地続きだったり気候が近かったりで、現在に至るまで標高の高いところだけに生息している。大陸移動前から生き延びてるってちょっとすごいと思う。

ほとんどの人が見たことのない小さなコケが絶滅危惧種と言われても、絶滅したことでどんな問題があるのか、ということをずっと考えてきた。環境的にはたぶん何も影響しないんだと思う。人差し指の爪より小さいコケがなくなっても、木が枯れたり川が氾濫したりするわけではない。

日本のコケ研究は明治時代から本格的に始まって100年以上続いたとはいえ、肉眼で確認できないことがたくさんあるので、高度経済成長期からの森林伐採や公害で消えていったコケは何種類もあるはず。最近でも温暖化の傾向なのか、数年前にはいたはずのコケが消えているという話を何度もうかがったことがあります。でも、コケが存在していたことを証明するのは観察し続けることが必要で、記録していくしかない。

絶滅危惧種がほんとうに絶滅してしまうのは、記録としては大きな喪失。ある生物がいれば調べて分かることなのに、いなければ想像する手がかりにもならない。絶滅危惧種のコケは環境を計測したり、過去の生態系を推測できるという点で人間の役に立っていると言えるような気がします。
このことをコケを見始めてすぐに思いついて、今日までずっと考えて答えが出なかった。これも書くことの効能かも。

高いところに登るのは疲れるし、寒いところはつらいからきらいなのですが、世界にわずかしかいないと言われると行きたくなる。でもきっと、生えている場所に連れて行かれてもどれがオリンピックゴケか分からないし、見つけたところで感動するのかは分からない(図鑑に掲載されている蒴は丸くてかわいらしい)。

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