コケカツ(11)

Bryophytes

コケカツ!とは野山に分け入ってコケを見ること。撮るだけで採らない。

つい勢いあまってハマスホイ(個人的には2008年の思い出からハンマースホイと呼びたい)の前売りチケットを2種類も買ってしまう。

ハマスホイとデンマーク絵画|東京都美術館

一つはポスターやカードが付いたもの、もう一つは夜間にゆっくり見られる時間限定のチケットだ。我ながらこんなに投資するほど好きかな? と首をかしげてしまうけど、2008年に見に行った記憶はずっと焼き付いている。会場の壁と絵がモノトーンでずっと続くような、迷宮を彷徨っているような気分になったのはあの展覧会だけ。
でも、図録2冊はやりすぎだったな。やりすぎだ……。

『人間の条件』と並行して、仲正昌樹『ハンナ・アーレント「人間の条件」入門講義』を読んでいる。こういう解説書があるのは本当にありがたい一方、この意見に流されてはいけないぞ、とも思うが、やっぱりきちんと読み込んでいる方の意見にはさらさらと流されてしまいがち。

各人の内面に留まっているうちは、ぼんやりとしていて、放っておけばすぐに消えていくような感覚が、「芸術」という公的な性格の媒体を経由することで、リアルなものに変換されるわけです。仲正昌樹『ハンナ・アーレント「人間の条件」入門講義』p.116

当時はWebがないから自己表現手段は文芸を含めた「芸術」とされているけれども、今のわたしたちはSNSをはじめとして気軽に感覚を表明できる。「活動を通して共有された観念とな」る意味では、#MeTooのように大きな運動になりうるから、これもアーレントの視点からは「芸術」になるのだろうか。たぶん、当時と芸術の概念がちがうから、比較するというよりは今のWebで表現されることも含まれて、人を動かしうる表現全般を指すようになったのだろう。
哲学書そのものに体当たりして分からなくなることが多々あるので、マラソンの伴走者みたいに一緒に走ってくれるこのような本があった方が最後まで読み通せるかもしれない。時間は倍以上かかるけれども……。

伴走といえば、『ヤンキー君と白杖ガール』で3巻に視覚障害者で走るのが好きな女子が出てくる。このマンガは基本的に悪い人がいないので読んでいてすがすがしいのだけど、ようやく悪いやつが出てくる。悪事にはそれなりの理由があるというところまできちんと描かれていて、冗長になる直前でさらに展開があり、ただただ感心する。視覚障害者側だけに偏って見せることだって十分にできたはず。悪意が生じるのもやむを得ないと納得させてくれて、このマンガは再読するやつだと決まった。もう3回くらい読み返してる。
あ、モスバーガーのパロディだから茄子バーガーなのか……。ようやく気づいた。

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