コケカツ(8)山梨県某所その2

ホウオウゴケの背に乗る苔類 Bryophytes

コケカツ!とは野山に分け入ってコケを見ること。撮るだけで採らない。

かなり浸蝕されている橋をおそるおそる渡ると、鬱蒼とした針葉樹林になる。きっとそれまでと同じ広葉樹が生えていただろうに、伐採するなどして新たに杉に植え替えたのだろう。ダムの建設にも共通した話で、人間は自分たちの分かっているところだけ見て自然を利用してきたけど、それで花粉症の大量発生を引き起こしたりする。人間が調べて分かることなんてほんの一部で、一本の木を切り倒すことがどれだけのことを引き起こすかなんて、時間がたたないと分からない。バタフライ・エフェクトは自然の中にいるとより濃厚に感じます。

台風で倒されたと思しき杉をかいくぐって進む

台風で倒されたと思しき杉をかいくぐって進む

元気なホウオウゴケを見て隣のこどもが元気に遊んでいるような気分になっていると、少し変なことに気づく。近づいてみると、ホウオウゴケの上に小さな苔類が乗ってる! 葉状苔類ならぬ葉上苔類と呼ばれる種類で、生えている葉が枯れるまでに生長して次の子孫を残せるように準備することができる、ちょっと進化したタイプだと聞きました。コケの中でも寿命が短いわけで、その話を聞いてからというもの標本も採るのを躊躇われる。
平凡社の図鑑でホウオウゴケに乗っているのはヒメウルシゴケだけど、これはどうもちがうぽい。シゲリゴケの仲間かな?

ホウオウゴケの背に乗る苔類

葉上苔類の腹側

はぁ〜、いいものを見たと息をつく間もなく、すぐそばに見たことのない鈍い色を見つける。3cm四方にびっしりと固まって生えていて、色味があまり見たことない感じ。黄土色というか、黄色や黒ぽさがある。背中の葉はきれいな円になってなくて、少し棘がある。何より裏返してみると腹片が! 腹片があるだけで種類が絞られてくるし、こいつはちょっと飛び出してるタイプ。これもウロコゴケの仲間だと思うけど、ちょっと分からないな……。

ウロコゴケの仲間?

ウロコゴケの仲間の腹側

針葉樹林帯に入るとぐっと冷え込んできた。広葉樹林帯ではちょっと暑いくらいだったのに、すっかり意気消沈。河原に出るとコケは増えるけれども、わたしが探しているような苔類はなく、シノブゴケの仲間が優占している。もう少し登ればまたちがった景色が見えるかもしれないけど、この日は夜も予定があるので早期撤退。駅から30分程度でかなりいいコケが見られることが分かったので、次に来たら分からなかったコケを顕微鏡で見よう、と決意したのでした。

という感じでソロのコケカツはだいたい2〜5時間くらいで切り上げます。散歩以上、ハイキング未満。
帰りの電車ではいよいよ来週に迎えた『人間の条件』読書会のために、必死になって読んでいるが、1頁読んでは「何言ってるかわかんねえ」となって1頁戻るような読書。時折「円環」という言葉出てきては「ボルヘス! ボルヘス!」と喜ぶのが楽しみ。

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