コケカツ(7)山梨県某所

Bryophytes

コケカツ!とは野山に分け入ってコケを見ること。撮るだけで採らない。

渓谷の紅葉

渓谷の紅葉

タイトルにふさわしいことをせねばという思いで山梨県へ。高尾での乗り継ぎに30分ロスしたところで着いた某駅では、なぜか知らない人と両手をとりあってエネルギーの交換をすることになった。
「私、周囲のエネルギーをコントロールできるんで、家のコケがよく育つんですよ」
「そうなんですかー」
そうなんですかー。

アクシデントによって失った時間を取り戻すべく山に向かって走っていると、愕然となる光景が飛び込んできた。

通行止め

台風の影響は山梨にまで及んでいた。看板には「この先のキャンプ場には行けます」とある。とりあえず行けるところまで行くか……。

倒れた塚

崖崩れ

確かに車は通れないが、徒歩なら進める。

登山口の看板

ちょっと崩れてるけど問題なく登れるようす。道には大きな朴(ほおのき)の枯葉が落ちている。この香りだろうか、山に入ると少し酸味のあるようなすがすがしい香りを僅かに感じる。周囲に人がいないところでぼんやり歩いていると、当然なのだけど「山に来たなー」といういい気分。場所を一人占めしていることをいい気分と感じるのは、普段は人を警戒しているのだろうか。

日当たりの良い藤の蔦が絡まった木(楠?)に緑色を見つけたので、崖から落ちないように慎重に近づく。現場で見たときはチヂミカヤゴケ(Macvicaria ulophylla)に見えたけど、写真ではチヂミが弱い気がする。ケビラゴケの仲間にも見えてきた。いちばん簡単そうに見えるコケが、振り返ってみるとよく分からないというのが往々にしてあります。

楠?

チヂミカヤゴケではなさそう

山がちになって影になったところでは、平日の雨がいっそう残ってぬかるみが強い。坂道はゆっくり歩いて、いざとなったらカメラを守れるように懐に抱えて移動する。歩くバランスが悪くなるので、簡単にリュックに着脱できるような器具がほしいが、それよりも優先すべき買い物たちの前に敗退し続けている。
影になっているところでは倒木も水分を発散しづらいので、腐るのが早い。そういうところに菌類やコケがついてよい住処になっている。まだ元気な木についているコケも、生えている場所に法則性が見えてくる。木が斜めになっていると日当たりの悪い左側よりも右側を選ぶ。初めて来た場所で1時間も滞在しないのに、日当たりの境目が見えるというのが不思議でおもしろい。

日当たりの境目はコケが教えてくれる

樹幹にはいかにもな苔類がびっしり。緑色がちょっと薄い。

樹幹の苔類

キコミミゴケ?

キコミミゴケ?の腹側

キコミミゴケ(Lejeunea flava)かなー、どうかなー。茎の裏側に生えている腹葉の左右からちろっと違う形のものが腹片。これがあるからクサリゴケの仲間なのはまちがいない。腹片フェチなのでどうしようもなく燃えるっ。こんな小さいのに複雑な形をしているというのが萌えポイントです。

次回はこの山を流れている小さな沢を渡ります。そこが広葉樹林と針葉樹林の分かれ目で、杉林に入るとごっそりコケが減る。その境目に不思議なコケを見つけることができました。

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