コケカツ(6)

ナミガタタチゴケ?と水滴 Bryophytes

コケカツ!とは野山に分け入ってコケを見ること。撮るだけで採らない。

柿内正午『プルーストを読む生活1』を読み終えてしまった。良い本を読み終えるのはすごく悲しくなるから、なるべく読了を先延ばしにする癖がある。いま他に先延ばしにしているのは、『微生物の狩人』(もう、タイトルからしておもしろい、岩波文庫青背で一番「!」の多い本)を上巻で止め、『鬼滅の刃』は全巻買ってあるのに16巻読了したところで一息ついたので、来年の映画までこの先は読まないと決めている。
『プルーストを読む生活1』は健全な好奇心に動かされて読む本を選んでいるところに好感がもてて、健全な好奇心というのは自分の中で湧き起こった流行を熱く追いかけることだと思った。Amazonで本を買うことをよしとせず「お金を歓びに払いたい」みたいなところがいいなあとつくづく感心して楽しい平日のお供を本棚に戻した。

昨日の続きで、なんでコケ見てるんですか? て質問されて答える中身をいつも考えている。

最初の動機は、知り合いから勧められたこと。コケがおもしろいと聞いて、最初から「あ、見逃してたわそれ」とちょっと悔しかった。山に行ったり実家に帰ったりすると、視野の端にぼんやり緑色があるけど、それ見逃してた。実家は茨城県で、いま出ている一番大きなコケの図鑑(平凡社)で撮影した人も同じ市内だから、地元の名前がたくさん載ってるんです。写真の美麗さ、内容の詳細に加えて、地元愛という点でもこの図鑑気に入ってます。

そして、たくさん見逃してたんだなーと改めて後悔する。スギゴケとかシッポゴケとかわんさかいたんじゃん、何を見ていたんだ自分は、と。実家帰るの年に数回なのに、親族に会うよりコケに会いたい気分で帰りますすいません。

図鑑と首っ引きでコケを見ても種類は全然分からないんです。ふつう図鑑見たら対象を識別できると思うじゃないですか。動物や車の図鑑ならきっとユキヒョウだとかパトカーだとか軽装甲機動車だとか分かると思うんですが、コケは全然分からない。そもそも国内で一番大きい平凡社の図鑑が「種の識別に適していない場合もある」と言われてます。え?? 思わず2回押しちゃうくらい疑問符つきました。それより前に出版された保育社から出ていた図鑑の方がイラストが豊富なので見分けやすいそうです。ええー。まあ、どっちも買いましたけどね。

コケを見始めてもう4年です。4年たつのに全然分からない。でも見ちゃう。見に行っちゃう。旅行もコケが優先です。いわゆる何もないところにすてきなコケがあったりするので、全然観光地じゃない場所ほど気になります。逆に観光地は日当たりが良い場所が多く湿度が低いので、コケの生育に適していないところが多い。だから大阪のたこ焼きとか博多の屋台のようなおいしそうなものは、嫌いじゃないけど旅行の焦点にならない。

ここまで書いても自分の動機にまったく至らない。強いて言えば「発見」の連続であることです。図鑑を見ても分からないし、さっきまで自分が見ていたコケすら、少し目を離すとどこだったか分からなくなってしまう。しばらく探して「ここだったか」と気づく。何度でも発見できるのが楽しいと思えるなら、お得。思えばプログレ聞いてたときも、古本を買ってたときも、発見したときのよろこびが一番上で、あとはフェードアウトしていった。見つけることが自分にとっての趣味なのかもしれません。

コメント