コケカツ(5)

サンカクキヌシッポゴケ Bryophytes

コケカツ!とは野山に分け入ってコケを見ること。撮るだけで採らない。

コケ界の有名な先生と観察していたときのこと
「そこの石灰岩にサンカクキヌシッポゴケがあるよ」と言われても、ただの白くてざらざらした岩だった。ルーペでじっと見たら、ようやく小さく飛び出している葉っぱのようなものが見える。
「え、先生これ見えるんですか?」
「いや、見えてないけど、いるはずだから」
心眼てやつか、すごい。自分も誰かみたいになりたいって、生まれて初めて思ったかも。

コケを見ることについて書くのは難しい。コケ界隈ではコケを見つけてしまう習性を「コケ目(め)」というそうな。部屋が散らかっていてものが見つからないけれど、大好きな本だけはどこにあるか分かる、なんて人もいるように、コケばかり見ていると習性になってしまうらしい。気づかないうちはノイズだと思っていた情報が主眼になるということは、別の何かを見落としているかもしれない。コケを見る動機にも関わってくる話なので、これはそのうち。

大きなコケは肉眼でも見えるけど、特徴を視認するにはルーペが必要。さらに小さいコケだと肉眼では分からないものも少なくない。ただ、眼鏡をかけているとレンズが重なるせいかルーペではうまく見えなくて、眼鏡をいちいち外さないといけない。それはとてもめんどうなことで、たぶんルーペしか拡大できるものがなかったらわたしはコケカツしてなかった。コケを4年も見てあんまりルーペ使わないのなんてわたしくらいじゃないかな、邪道です……。

ルーペに代わる拡大鏡、それはオリンパスから出ているTGシリーズ。撮影サンプルにコケが出ているくらい、コケ界隈では必須アイテム。ただ、このカメラ単体ではカメラ自身が影になってしまうので、シャッターを半押ししている間光ってくれる「リングライト」も別途買わないといけない。合わせると安売り店でも5万円を超えてしまうかもしれないので、コケカツはちょっと贅沢な趣味と言えるかもしれません。でも、趣味ってなんでもそれなりにお金かかりますよね。読書だって本を買っていたら月に1万円くらい平気で羽が生えて飛んでいくし、料理に凝り出すと食材やら調理器具やらが必要になる。5万円で新しい世界が開けると思えば出さずにはいられない。
ちなみにTGシリーズは中古も人気がありますが、TG-4まではリングライトが固定されずに外れやすいのと画質の点で、TG-5以降を選ぶべきです。

TGシリーズを使うと見えないものが見えるようになる。別にコケに限らず、紙幣の数字に印刷された小さな数字とかも写ります。望遠鏡を発明したケプラーに匹敵する大発明だと思うんですよ。顕微鏡みたいな大きな仕掛けと細かな設定など必要なく、防塵防水なので水中でも撮影できる。
コケの本にはルーペでちゃんと見られるようになるのが当然みたいに書かれていますが、わたしは生物学者じゃないからいいかなって。コケカツはTGシリーズとともにあります。

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