苔をたずねて三千里

苔の写真を撮り、海外文学を読んでいます。

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某亜高山帯にてコケ観察:チャケビラゴケを探して

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人を募って亜高山帯へ。4人いるとバスとタクシーの値段が変わらなくなるので、時間を気にしなくてよいというのがありがたい。ここは人通りがあまりなく見所が広範囲なので、人気スポットにもかかわらずコケ観察の穴場なのだ。都心からはちょっと遠いけど、行ける範囲で一番近い亜高山帯のはず。

個人的に今回楽しみなのはチャケビラゴケ。

チャケビラゴケ:平凡社図鑑より

チャケビラゴケ:平凡社図鑑より

「尾状枝」という葡萄のような短い枝がキュート。なんのためにあるのか全然分からないところもいい。他の特徴としては、
・背片は円頭
・茎の皮相細胞は薄壁。花被は茎に頂生、新枝を1〜2本出す
・茎は外から見えないくらい腹片で覆われる。背片と腹片の基部に耳状の突起
らしいのですが、細胞については現地で見極められないので、尾状枝に賭けるしかない。

歩く距離が長いので全体的にじっくり見る時間がとれなかったのは反省点。次回は途中で引き返すパターンにすることで後半のダレをなくすようにしたい。

亜高山帯でカサゴケらしきものを見たらカサゴケかカサゴケモドキ。葉の少ない方がカサゴケらしいので、これはカサゴケモドキ(Rhodobryum ontariense)のはず。1箇所にだけ群生していました。

カサゴケモドキ

カサゴケモドキ

亜高山帯のチョウチンゴケ代表選手といえばムツデチョウチンゴケ(Pseudobryum speciosu)。背が高くて波打つ葉が特徴で、複数の蒴を出す。チョウチンゴケは他にもエゾチョウチンゴケや珍しいハットリチョウチンゴケがいました。

ムツデチョウチンゴケ

ムツデチョウチンゴケ

葉が左右非対称になるというハナザキイチョウゴケ(Lophozia lacerata)。時間がなくてきちんと確認できていないのですが、えぐれ方が左右でちがうと思う……。とにかく美しく不思議な造形。

ハナザキイチョウゴケ?

ハナザキイチョウゴケ?

ちょっとふくらみが足りないような気がするフクロヤバネゴケ(?)(Nowellia curvifolia)(屋久島には「フクレヤバネゴケ」という種もいるらしく、和名がまぎらわしい)。左上の方に特徴の一つ「赤みを帯びる」が若干出ていて、平凡社の図鑑の写真ともかなり似ている。平凡社の図鑑にはフクロヤバネゴケの写真が2枚掲載されていて、一つはかなり近くに寄った写真なのだけど、もう1枚はただの朽ち木の写真にしか見えない。肉眼ではとても見分けがつかなくて、なんとなく苔類がいそうな場所にルーペを向けてようやく見つけられる。これもずっと見たかったコケなのでうれしい。

フクロヤバネゴケ?

フクロヤバネゴケ?

ヤバネゴケをもう一つ。「葉の幅が茎径とほぼ同じ」「葉は離在」「1/2から1/3までV字型に2裂」あたりからタカネヤバネゴケ(Cephalozia leucantha)と推測。これもかなり小さい。V字型に切れた葉や、直角に出る枝がチャームポイント。ヤバネゴケは基本とても小さくて肉眼でとらえるのが難しいから、見つけたらその日はラッキー。

タカネヤバネゴケ(?)

タカネヤバネゴケ(?)

こちらが問題のチャケビラゴケ(?)(Radula brunnea)。中央下の出っ張りから葉っぱ2枚右にうっすらと枝状のものが出ている。これが尾状枝だと思うんだけど、図鑑だともっとずっと立派。季節によって大きさが変わったりするのかもしれないから、また春になったら行かないと。

チャケビラゴケ(?)

チャケビラゴケ(?)

同行者が「コケを見るときは現実とちがう時間が流れていて、とてもゆっくり。現実は早すぎる」と言ったのはけだし名言。本でもスポーツでも夢中になっている時はあっという間に時間が過ぎる、そんな体験を今回もできました。個人で行く場合は、それぞれの視点を共有しあえる4人くらいがベストなのかも。わたし以外みんな平成生まれなのもおもしろかった。

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