第60回読書部リチャード・パワーズ『舞踏会へ向かう三人の農夫』

読書部


第60回を迎えました読書会の課題図書はリチャード・パワーズのデビュー作『舞踏会へ向かう三人の農夫』。リチャード・パワーズについては過去に『オルフェオ』の読書会に参加したことがあり、『囚人のジレンマ』を読んだことがあるのですが、個人的には装飾過多でつっぱった文章が苦手で、本作も個人的にはぴんとこなかったのです。しかし、実際に読書会に参加してみると、他の人は思いもかけない場所で感動したとおっしゃるので、自分の読み方はまだまだ足りないと反省しきり。

いつもの通り、雑談のパートに入ってしまうと記録をとっている余裕がなくなるので、参加者の第一人称のみお伝えします。ネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。

  • 20世紀の全部を再現しようと試みた小説。再現はするが人によって再現されるポイントがちがう。
  • 写真を見ることの意識・観点が広がる。見る側もクリエイトに参加することができる小説。
  • 旧版から所有していて、厚さゆえに読むのに躊躇してたが、リーダビリティは高い。16章あたりからつながってきて読みやすくなる
  • 中心人物と思われた2人があっけなく死んでしまうことに驚いた。戦争文学を前提にすると疑問点が多い。
  • 第一次大戦のパートはスクリューボール・コメディを彷彿とさせる。写真と物体の関係性について考えさせられる。
  • メイズの最後のパートに希望が感じられた。
  • ミセスシュレックの存在でつながりが見えるようになり、おもしろくなった。カメラの位置づけが今と異なること、女性(アリスンなど)の都合の良い動きが気になる
  • ピンチョンを意識した作風。読むことによって自分が書き換えられる小説。
  • おもしろけど決定的なポイントがない。科学知識については怪しいところも散見され、ブルーバックスレベル。読むことによって自分の時代の自伝を読者が描き出す。
  • 発売当時にインテリぶりたくて買った。蘊蓄が多く『白鯨』なども彷彿とさせる。
  • 20世紀の技術革新によって人間が変容していくことが基本だが、もっと物語が広がるはずという思いを抱き続けた。
  • 語り手他全員に感謝していない。人間観に我慢ならないので小説の形をとるべきではない。
  • 知ってること・学んだことを全部書いてしまっている。咀嚼して形にしてほしい
  • ペーターが記者としてねつ造したことのように、受け手によって真実が変わることはメディア論としておもしろく読んだ。記録側が干渉することは避けられない
  • 順番が飛んでいてよく分からないまま読んでいたが、あるとき(下巻P.158「それはある水曜日〜」)写真が像を結んだところに感動

参加者のDainさんa.k.aスゴ本の人が詳細に参加記を書いてくださっています。こちらもぜひ。

次回は10月20日(土)、課題図書はまだ投票中ですが、おそらくミランダ・ジュライ『最初の悪い男』になることでしょう。

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