苔をたずねて三千里

苔の写真を撮り、海外文学を読んでいます。

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名作なのに挫折している文学

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エリオット『荒地』の日本語解説があった。これがあればわたしにも読める、読めるぞー!

T・S・エリオットに限らず挫折している本、または読んでいないけれども読む前から挫折している本というものが家にある。挫折している本は他に有名どころとして、

  • ナボコフ『青白い炎』
  • ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』
  • トルストイ『戦争と平和』

あたり。どれも名作と言われて久しいけれども、読めないものは読めないのだ。なぜ読めないのか。

ナボコフ『青白い炎』

ナボコフ最難関と言われる(?)『青白い炎』。冒頭の100行からなる詩と膨大な注釈、それが『青白い炎』の構成です。注釈があったら文章と注釈を交互に読む場合と、文章を一通り読んでから注釈の場所に戻る方法と2種類あると思うのですが、本書に関してはどうやら注釈を読んでから詩を読む、のが正しいと聞きました。それってミステリの解説を読んでから本編を読むようなものでおもしろさ半減するのでは? と思うのですが、冒頭の詩の意味不明さにノックアウトされた今は「それが正しい道筋なのかもしれない」と思います。ならば先に言ってほしい! 登場人物にも不親切な作家は読者にも不親切なのでしょうか、いずれ再読してみたいものです。

ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』

何度手に取ったか覚えていませんが、チェスの部分を見ただけで先を読むのがうんざりしてしまう。この暗号が解けない者はこの世界に入るべからず、と思い込んでしまうのです。いま読んでいる石井桃子『子どもに歯ごたえのある本を』によると、読書好きだった著者はすんなりと世界に入り込んだとあり、このあたり子どもの頃にろくな本を読まずテレビっ子だった自分のハンディを感じます。

子どもの頃にあまり本を読まず、海外のファンタジーやおとぎ話に触れたのが中学以降(しかもきっかけはラブクラフト……)だったので、素直に本のおもしろさを受け取ることができなくなってしまったのかもしれません。音楽でも読書でも、子どもの頃の体験は大切みたいです。また、ゲームからファンタジーに入ったので、異形の生物というのはD&D(ダンジョンズ&ドラゴンズ)が基準になっているため、そこから外れたアリス独自の造形にステータス(強さのパラメーター)が見えないところも受け入れられないポイントかも。オークなら力は強いけど知力は愚かと名前を聞いただけで先入観が浮かび上がりますが、トランプの兵隊やチェシャ猫がどんなパラーメーターなのか分からないから苦手、っていかにも男子ぽい。数値なんて関係なく物語に飛び込んだらいいと頭では分かっていても、読んでいるうちに世界観が混乱してきて放り出してしまう。この混乱を楽しく受け取れるかが試金石?

トルストイ『戦争と平和』

岩波文庫で4巻か5巻まで読みましたが、全6巻の壁は厚い……。人間模様についてはトルストイ独特の優雅かつ人の愚かさを愛す視点がすてきだと思うのです。しかし、戦争の描写がなんともやりきれない。1812年ロシア戦役当時はインターネットはもちろんモールス信号さえ実用化されていません。なので、基本的に人間の視覚に頼ることになり、信頼性が低い。前線の報告が中心に達するよりも前にナポレオンが攻め込んできたりして、ドローンが3台あれば負けないのに……と歯がゆい思いをしながら戦況を読むのが苦痛でした。戦争などをする人間の愚かしさを描いたということなら大成功なのですが、それを6巻続けざまに読むことが優美と思えるか退屈になってしまうかで本書の評価が変わりそうです。
ロシア文豪の名作と謳われていますが、自分がそれを読めるかどうかは別問題ということを本書で改めて気づきました……。

調べてみればまだまだ挫折した本はたくさんあります。自分に合った本を見つけて読み通すことって、実はとても難しくて、それができるのは幸運なのかも。挫折した本てなかなか人と話す機会がないのですが、「挫折読書会」なんてあったら楽しそう。

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