『渡辺啓助集 地獄横丁』(ちくま文庫) その1

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怪奇探偵小説名作選〈2〉渡辺啓助集―地獄横丁 (ちくま文庫)

古書価が高くなり入手が難しい「怪奇探偵小説名作選」の2。数年前の正月に数冊抜けただけで売られていたのを見て、勢いで買ったが放置していた。最近になって寝る前などに少しずつ読み進めている。渡辺啓助の素性についてはさっぱり知らないが、最初の「偽眼のマドンナ」を読んだだけでぶっとんだ。これはコルタサルじゃないか!

うらぶれた青年が公園で短編集を読んでいると、本の作者に興味を覚えた紳士が話しかけてきた。「女を一人殺してきた」と。そして、義眼を入れた娼婦について大陸をまたいだ話が始まる。

コルタサルの「続いている公園」を読んだときと同じ、フィクションと現実をするりと移行するような感触。スピードを出した車に乗っていると、ゆるやかな坂でふわりと浮く感触。今いるところからスムースに違う空間へと自分が押し出されるような感触で、ダンディな厭みもまたアクセントになっている。これは他の作品も楽しみ。

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