フェルナンド・バジェホ『崖っぷち (創造するラテンアメリカ)』(松籟社)

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崖っぷち (創造するラテンアメリカ)

あとがきでも触れられているとおり、7年前くらいに読んだホルヘ・フランコ『ロサリオの鋏』に似た、激情型内向吐露小説。『ロサリオの鋏』でも舞台となったコロンビアのメデジンは麻薬が街を支配している。兄弟20人の長男である語り手が、死につつある父、2階に巣くう母、暴力的なゲイ故にエイズに感染してハンモックに揺れている弟たちへの感情を吐き出しながら、コロンビアの荒廃や麻薬・火酒の悪癖などについて速射砲のように悪態をつく。

コロンビアのブコウスキーといった趣だが、正直なところ安全圏の日本でこの本を読み得られたものは少ない。コロンビアがいかにダメであるかはよく伝わってきたが、わたしにとって彼の愚痴が物語として機能しなかった。同じ時、同じ場所で読むべき小説のような気がする。

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