苔をたずねて三千里

苔の写真を撮り、海外文学を読んでいます。

Bryophytes

ツボミゴケ(Jungermannia)、かな……?

投稿日:2017年5月7日 更新日:


日本で一番有名な苔はスギゴケでもジャゴケでもなく、実はチャツボミゴケかもしれない。少なくとも地名になっているのはここだけのはず。苔が好きと公言しておきながら、ずっとチャツボミゴケのことを「チャツボ」「ミゴケ」だと思っていました。茶壺の形をしたミゴケという仲間かと。よくよく図鑑を見てみればミゴケ属などない。正しいのは「チャ」「ツボミゴケ」で、茶色いツボミゴケという意味なのでしょう。

ツボミゴケ?の小さな群落

こちらは秘密の苔園で見つけたツボミゴケの仲間と思われる群落。帰り際に岩の隙間から水がしたたっている場所の近くにこぢんまりとしていました。近辺の苔類はジャゴケばかりだったので喜びいさんで激写。たがいちがいに斜めに葉がつくところがいかにもツボミゴケぽい。

ツボミゴケ?

しかし、いざ近くでじっくり観察しつつ平凡社の図鑑と照らし合わせると、ツボミゴケの仲間であるはずなのに微妙に条件がちがっていて同定できません。先端のふっくらした場所は花被といいますが、中にカリプトラと呼ばれる円筒形の保護する部分が見えます。葉も丸く切れ込みが入っていないので、ほぼツボミゴケ属でまちがいないと思うのですが……。

苔類の花被とカリプトラ

いざツボミゴケ属の説明を読んでみると、オオホウキゴケの説明が近いように思います。
「仮根が多い」
「腹葉はない」
「油体は細胞に4〜6個」
「葉は卵状舌形」

ツボミゴケ?の細胞

しかし、決定的にちがうのが「トリゴンが大き」いということ。細胞の角のつなぎめに隙間があると「トリゴンが大きい」といいますが、今回の苔はトリゴンらしきものがほとんどありません。ツボミゴケ属全体を見回してもほとんどがトリゴンが大きいので、もしかするとこれだけトリゴンがないということはツボミゴケ属でないのかも……。保育社の図鑑をひもとくとゴマダラツボミゴケが載っています。こちらはトリゴンがなくベルカ(細胞表面のわずかなでっぱり)もないということですが、決定的なちがいは油体の大きさ。ゴマダラツボミゴケは1つの大きな油体ということで、ここでも条件がちがってしまいます。

ツボミゴケの仲間ということでいったん保留しておきます。秋くらいにもう一度見に行ったら色が赤く変わったり何か変化があるかもしれません。

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