苔観察日記 奥多摩某所

Bryophytes
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夏のミズヒキがまだ咲き残っている奥多摩を歩くのは今年3回目。東京といっても、冬になると雪が積もってしまうと苔観察は一時おやすみなので、その前に秋の苔の状態を見ておきたい。いつもは見ない場所で鳶がたくさん飛んでいた。鳶も季節によって棲家を変えるのだろうか。

鳶は撮れなかったので、近くの釣り人たち

鳶は撮れなかったので、近くの釣り人たち

奥多摩某所いつもの写真

奥多摩某所いつもの写真

木々がほんの少し色づいて、もうすぐ紅葉が始まるくらい。それでも快晴のせいか気温は高く、歩き続けていると汗ばむくらいの陽気。もっとも真冬の奥多摩は快晴で登っていると十分汗をかくくらいは温暖な気候なので、フリースなんていらなかった。今回のミッションは10月頭の富士山観察会で同行の方から聞いた「奥多摩某所から某山へ登るところの苔がすごい」というコメント。そのルートは何年も前に登山を始めたばかりの頃に通ったきりで、苔を見出してからは未経験の場所。確かに高さが変われば苔も変わるので、行く価値はあると挑戦してみることに。

ミズヒキ

ミズヒキ

シラネセンキュウ?

シラネセンキュウ?

サラシナショウマ?

サラシナショウマ?

謎の紫の花

謎の紫の花

バス停を下りて20分くらいはコツボゴケばかり。山道の人が歩く場所にもぎっしり生えているのでどうしても踏んでしまい、申し訳ない気持ちになりながら通る。この道はいつも通れるから時間をかけないようにしたいのだけど、どうしても何かないかと見渡してしまい歩みが遅くなる。今回は粘菌さまに遭遇。

フリルがきれいなホソバミズゼニゴケ

フリルがきれいなホソバミズゼニゴケ

粘菌

粘菌

アオギヌゴケ属?の蒴

アオギヌゴケ属?の蒴

ふつうに歩けば30分で着く分岐点までやはり2時間くらいかかってしまう。ここから仕入れたネタに従って坂道を上り始める。コツボゴケばかりだが、この先に未知の苔があるはずと信じて歩き続ける。しかし、時間内には新しい苔を見つけることができなかった。無駄足だったかと帰りに通ったことのない吊り橋を渡ったところで、望外にハミズゴケとイクビゴケの楽園を見つける。ちょっと意外な取り合わせ。ハミズゴケは「葉見ず苔」のとおり、葉っぱがなく地面に濃緑の染みが広がるところに蒴がつく不思議な苔。葉がある種は葉で光を受けて光合成した結果として蒴が成長すると分かるのだけど、ハミズゴケの場合は地面の原糸体全体がどのように蒴を作り出しているのか直感的に分かりにくい。「この辺の地面がこの蒴を作り出しているのかも」と考えるのも楽しい。

大量のハミズゴケ

大量のハミズゴケ

イクビゴケは蒴の形はもちろん、葉が長い楕円形なのも特徴的

イクビゴケは蒴の形はもちろん、葉が長い楕円形なのも特徴的

前回は羚羊を見かけたが、今回は猿に遭遇。ほ乳類づいている。30匹くらいの集団がいっせいに道を渡って逃げていくが、中には樹上に居座ってわたしをめがけて柿を投げつけてくるものもいる。本気で当てる気がないのか、当てられる技量がないのかわからないが、わたしの足下20cmくらいのところに固めの柿が落ちてきてひしゃげる。立ち入ってはいけないところに踏み込んでしまったのだ。

逃げていく猿

逃げていく猿

某タマゴケの道にも分け入るが、前に見たアブラゴケは見つけられず、苔類も前に見たときよりちょっと小さい気がする。春に無性芽で増えるタイプは1年かけて大きくなるからまだ成長途中なのかも。トサホラゴケモドキなど、苔類は全体に定番が小物で見つかる感じなので、苔類の旬は春なのかもしれない。一方、茸はいまが盛り。

胞子を出すホコリタケ
同じ木の枝なのに全く違う色に紅葉する

同じ木の枝なのに全く違う色に紅葉する

トサホラゴケモドキ

トサホラゴケモドキ

小さめオタルヤバネゴケ

小さめオタルヤバネゴケ

腹葉があまりなかったのでコハネゴケぽい

腹葉があまりなかったのでコハネゴケぽい

そろそろ奥多摩も一通り回ってどこにどんな苔があるかうっすら分かってきたので、これからは奥多摩以外にも足を伸ばしてみたい。とはいっても都内から日帰りで行ける苔スポットはなかなかないもので、地図や論文とにらめっこしながら地道に開拓していくしかない。冬になったら熊のように巣ごもりして、次に行くべき場所を考える。それもまた苔観察の楽しみの一つです。

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