苔観察日記 富士山五合目その2

Bryophytes
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5時に起きだして一人ごそごそと外に出る。ゆうべからの快晴が続いて富士山には傘がかかっているので、今日は晴れそう。山荘から少し歩くと見晴台があり雲海が見られる。じっとしていると光の加減で雲海のあちこちに虹ができる。

雲海

雲海をパノラマで(クリックすると拡大します)

虹のかけら

虹のかけら

だいたい↓あたり。

朝食、準備をへて三合目へ「屈曲点」という場所を通過するルートで。しかし、「屈曲点」がどこで何なのかさっぱりわからなかった。道は結構な勾配で、たまに出会う登りの人たちはかなりつらそう。自分だけで行くときも下から登るのはやめようと心に誓う。午前中は亜高山帯が続くが、お昼に近くなるにつれ亜高山帯特有のシモフリゴケなどが見られなくなり、スギゴケ(ハミズゴケという葉のないスギゴケが大量にいたのが印象的)などの1500mくらいの山でも一般的な種が見られるようになる。

最後の亜高山帯。足下にはハナゴケがいっぱい

最後の亜高山帯。日の当たる足下にはハナゴケがいっぱい

ハナゴケ

ハナゴケ

マルダイゴケ属は動物の糞や死骸に生える特別な苔。色も紫色だったりピンクだったり特徴的で、壺のような形の蒴があれば一目で分かる。その仲間のユリミゴケ。観察会参加者全員総出で探してようやく見つかる。ふつうは蒴から胞子が出て空気や水に流されて繁殖するけれども、この種は胞子がベタついて飛んだり流れたりしない。蝿のような昆虫を媒介しないと増えないので、その点だけ見ると花のよう。もしかして、マルダイゴケの紫色も蝿をおびき寄せる色だったりするのかな?

動物の死骸や糞につくユリミゴケ

動物の死骸や糞につくユリミゴケ(レア!)

亜高山帯でも北八ヶ岳とは異なる風景

亜高山帯でも北八ヶ岳とは異なる風景

ケナシチョウチンゴケ

ケナシチョウチンゴケ。中肋が葉先に届いていない絵が撮れていない……

五合目から三合目の道は苔類がびっしり。地面近くにはミズゴケもいたので、五合目のカラカラと乾いた道とはちがい、水分が豊富な場所ということだろう。林は地中の水分を留める力があるということを苔の生え方で実感する。かなり密な林のために登山道が暗く湿度があるせいか、カタウロコゴケやヒシャクゴケのような苔類が多い、と思うのはわたしが好きな苔類しか見ていないせいかも。

いそうでいないコオイゴケ。ふつうの苔類は小さい葉が腹側につくが、コオイゴケは背側につく

いそうでいないコオイゴケ。ふつうの苔類は小さい葉が腹側につくが、コオイゴケは背側につく

テガタゴケ。ささくれすぎている

テガタゴケ。ささくれすぎている

ウロコゴケ遠景

ウロコゴケ遠景

三合目のヤバネゴケ?

三合目のヤバネゴケ,と思ってきたけど葉の形や間隔が微妙に図鑑と異なるので、ちがう種なのかも

カサゴケモドキ。葉の枚数によってカサゴケと見分ける

カサゴケモドキ(蘚類)。葉の枚数によってカサゴケと見分ける

個人的にはいろいろ後悔もあるけど、まずは富士山で苔を見るという体験ができたことがうれしい。そして富士山にどんな苔がいるかを知って、今度は単独でも観察に来られるとわかったことが収穫。一度にすべての苔を見ることができるわけではないので、次回以降、時間をかけて定点観測を続けたい。ところで、富士山は雪積もりますよね、いつからいつまで積もっているのだろう……。

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