苔観察日記:今年3回目の奥多摩某所は誰かによって苔が……

Bryophytes
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今年3回目になる奥多摩某所に出掛けてきた。目的はOM-D EM-5 Mark2を使ってクジャクゴケの蒴を撮ること。クジャクゴケは春と秋の両方に蒴をつけているような気がするので、実際に確かめたかった。1月の段階で新しい蒴が出始めているのだから、クジャクゴケは年に2回蒴をつけるのはまちがいなさそう。平凡社の図鑑では、ある苔の蒴が日本では未確認ということは書かれているけれども、年に何回蒴をつけるかということはあまり書かれていないように思う。

1月のクジャクゴケはボケボケだった……

1月のクジャクゴケはボケボケだった……

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今回はさらに楽しみなことがあって、奥多摩駅近くにオープンした地ビールの店「ビア カフェ バテレ」へ行くこと。第3セクター主導で地域おこしとして運営されていた地ビールが一通り落ち着いて、今はクラフトビールから始まった新しい波がきているみたい。奥多摩には居酒屋などもあるけれど、やはり地ビールとなったら応援のために行かなければなるまい。夏山のあとのビール、最高にちがいない(→最高でした!)。

Beer Cafe Vertere

Beer Cafe Vertere

今回は途中の舗装された道の苔をなるべく見ないようにして、目的地近くまで一目散に歩く。ジャゴケとホソホウオウゴケの壁まで来たら目的地はもうすぐ。

ヒメジャゴケ?

葉先が伸びていく感じはヒメジャゴケ?

ホソホウオウゴケは色の濃さ、始終流水があるところに生えているので分かりやすい

ホソホウオウゴケは色が濃く、始終流水があるところに生えているので分かりやすい

EM-5 Mark2を持って奥多摩に来るのは初めて。毎月のようにやってきた場所が、このカメラを構えてみるととてつもなく手強い場所に変わる。今まではTG-3(4)で接写して、困った時にはリングライトを点灯させればなんとか絵にはなった。しかし、EM-5 Mark2は少しでも光が足りないとガクガクのブレブレになってしまい、自分の視覚で捉えている深い森の濃い緑を思ったような色・形で写すことができない。ISO感度を上げればいいことは分かるし、シャッタースピードを早くすればいいことも理屈では分かる。でも、そうすると自分が見ている森でないような気がして、写真と(自分が見ている)現実をもっと近づけたいという欲が出てくる。伊豆大島での光の強さを改めて気付かされ、森のなかの撮影というのがいかに難しいかを実感。これから秋~冬と日が短くなると、一層難しくなるのだろう。

枯れてしまっている

枯れてしまっている

暗い山道

暗い山道

クジャクゴケ・コウヤノマンネングサ地帯に踏み込むと、なんだか草木が少なくなっている。初夏に訪れた時は立ち入るのが大変なくらいに左右の藪が生い茂っていて、蜘蛛の巣と草露にまみれながら進んだところがすんなり通れるようになっている。この前の台風のせいか、前は湧き水程度の流れが増水して川のようになっており、冬に水が涸れていた場所は立ち入ったら流されるほどの濁流に。都心にいると水は下水を通ってすぐに排水されるのが当然に思えるが、山では水は地中に蓄えられるもので、時間をかけてゆっくりとしかし確実に流れ出ていくものだと分かる。ある程度までしか保水できないので、台風や長雨で溜まりきれない水が川となって新しい場所を流れるのだ。

前に来たときはなかった川

前に来たときはなかった川

チョウチンゴケやホウオウゴケなどいろいろ

チョウチンゴケやホウオウゴケなどいろいろ

たぶんクラマゴケモドキ

たぶんクラマゴケモドキ(ツキヌキゴケにも見えるけど、そっちは亜高山帯以上)

どうやら、森林伐採のために業者によって山道の草が刈り取られてしまったらしい。地面に生えていたはずの苔たちはみななくなり、地面が露出している。苔は前に来た時よりもずっと少なくなっているが、それでもクジャクゴケとコウヤノマンネングサに限ると、わたしが知っているどこよりもたくさん生えている。いつ見ても同じ感動、というわけではないけど、何度見てもいい苔だとしみじみする。苔のようにほとんどの人が見向きもしないのに、大きくて凝った形に成長しているから好きだと思えるのだろうか。わたしは自分が苔を好きになった理由を、これまでもこれから先も言葉にできると思えない。

タチゴケは蒴あり

タチゴケは蒴あり

クジャクゴケ

蒴をつけるクジャクゴケは葉の色が濃い

コウヤノマンネングサは蒴をつけていなかった

コウヤノマンネングサは蒴をつけていなかった

帰り際、すすきのような植物が生えていた。もう秋。でも、このすすきもよく見てみると赤っぽい種がついていたり、穂を垂れずにすっと立ち上がっているものもあり、きちんと調べればきっと異なる種なのだろう。山に来るたびに、何が生えていないのかまったく自分が知らないことに気づく。知らなくても生きていけることなんだけど、雑草にも実はそれぞれ名前があるということに気づくと、ただの藪は意味のある世界に変わる。

Miscanthus sinensis

Miscanthus sinensis

↓は最近読んで震えるほどこわかった本。奥多摩のような身近な自然でも遭難はたくさん起きているので、気をつけないと。

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