苔観察日記 奥多摩

Bryophytes

中公新書から出ている秋山弘之さん『苔の話』によると、苔を見るには梅雨がいいと書かれている。確かに濡れた苔は葉を開いてきれいな緑色になる。ただ、国立科学博物館の樋口先生によると「苔は濡れている時と乾燥している時の両方を観察した方がいい」ので、雨の時期は苔の特徴が分かりにくいとのこと。つまり、濡れていても乾いていても苔はすばらしい。

梅雨の前にもう一度見ておきたいと思い、また奥多摩に行ってきた。今年は既に4回くらい来ているような気がする……。わたしは苔に限らず野生の植物を移動させることには賛成しないので、苔玉や苔テラリウムを自分でやることはしません。ただ、それらによって野山に行かなくても苔の美しさを啓発することになるので、他の方がやる分には特に意見はしません。なので、苔を愛でるためにはめんどくさいしお金もかかるけど、わざわざ野山に出かけるしかないのでした。

蘚類と苔類

蘚類と苔類

中央で光沢を放つ鋭い葉の苔が蘚類。こういうタイプはまったく調べる手がかりがなくて名前がわからない。中肋がないからツヤゴケの仲間かも。周囲の楕円形の葉はツキヌキゴケのミヤマホラゴケモドキと思われます。実際には指先に全体が乗るくらいの小さな苔だけど、この丸みが規則正しく並んでいるところが苔類の醍醐味です。

トサホラゴケモドキ?

トサホラゴケモドキ?

こちらはミヤマホラゴケモドキに似ているけど、葉先が1箇所ないし2箇所とがっているので別の種類。同じツキヌキゴケ科のトサホラゴケモドキと思われます。こちらも腹葉(地面側の小さい葉)や顕微鏡で細胞内の油体を調べてみないと正確な名前はわからない模様。このめんどくささが好きなのかも。

蒴は終わりの季節

蒴は終わりの季節

春ににょいにょいと蒴を伸ばした苔も一通り胞子を放出して、現在は成長の季節。小さい苔があちこちに見られ、蒴はなくなっているか、このように枯れた姿を残すばかり。次は9月くらいから蒴が見られるのではないかと期待しています。

コハネゴケ?

コハネゴケ?

つぶつぶとした細胞、ぎざぎざの葉先、たがいちがいにつく葉、すべてが美しいハネゴケ。ヤバネゴケなどもそうですが、葉先の切れ込みとか鋸歯、細胞の大きさが苔類はきれいだと思います。蘚類ほど進化していない原始的な美しさというか。

クジャクゴケ

クジャクゴケ

今回よく見かけたクジャクゴケ。ほかの場所でこれほど大量のクジャクゴケを見たことがなかったのでびっくり。まだ小さくて胞子体をつけるようなものよりも白さが目立つ。大きくなるにつれて色が変わるのは、実際の鳥みたいで、そんなところまで配慮して名前をつけていたらおもしろい。

種別を見分けるには5月から秋までは蒴がなくなっているので不向き。でも、胞子から発芽(?)した若い青々とした苔を見られるのはこの季節だけなので、時期によって苔のおもしろさは変わってくるものだと思った次第です。次は9月くらいに蒴が出ていてくれたらうれしいのだけど。

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