コケについて国立科学博物館のディスカバリートークを聞いてきた

Bryophytes
国立科学博物館

いつ行っても「こんな展示があったのか」と驚かされる国立科学博物館。建物の高さがある分、美術館よりも広く、いろいろな見せる工夫がなされているので、いつまででも時間を費やすことができる。ディスカバリートークの存在を何のきっかけで知ったかは忘れてしまったけど、担当の樋口先生曰く「だいぶたくさん話してきたからネタがなくなってきまして」ということなので、ずいぶん前から開催されていたようだ。もっと早くから行っておけば良かったと後悔するほど、基本的な話なのに新しい発見がたくさん詰まった30分を過ごすことができた。

樋口先生は東京大学大学院教授も兼任されている苔界の第一人者。トークの開始前から苔ではなく「言葉」について話し始める。子どものしゃべる内容はどんどん変わっていき、最近は「了解しました」をLINEなどでは「り」一文字で表したりするそうだ。省略と言えば「かはく」も国立科学博物館の略だし、「みんぱく」は最近流行の宿泊サービスではなく「国立民族学博物館」の略でもあるなど、5分程度だけれども先生の人柄を感じさせる親しみやすく考えられた話が聞けた。

「コケの生き方を考える」というテーマでパート1の今回は「環境」についての話。コケとは何かと質問されて、先生が例えに出すのが……。

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月光仮面! 「どこの誰だか知らないけれど誰もがみんな知っている」ところが、道ばたに生えているコケを表すのにぴったりだと。でも実際に和名を調べようと思うと大変というのはよくわかる。そんなコケを見るためには「集団(肉眼)」「個体(ルーペ)」「細胞(顕微鏡)」の3つの手段があり、どれも大切。

植物に限らず動物も(「行方不明の子どもも」)必要なのが水。カラコルム砂漠の写真が出て岩と砂ばかりの大地でも、灌漑によって水をひけば植物が育つ。コケは「湿る」「乾く」の繰り返しで、植物としては死んでしまっている赤茶けた標本でさえ濡らすと葉が開くのだ。光合成をするには水分を長く保っていることが大切で、種子植物とは異なり周囲の水分によって体内の水分が変わることを「変水性」と呼ぶ。ほ乳類が恒温動物・は虫類が変温動物であるのと同じ。コケはふつうの植物と異なり、根は持たずに「仮根」で地面に接している。「仮根を説明し忘れるとのちのち禍根を残します」とおっしゃっていました……。地面に接する際、単独ではなく複数のコケが塊になる。これは砂や土をより多く蓄えるためで、これによって水分を長く保つことができるという知恵には感心。さらに高山のコケであるタカネスギゴケは、自分の葉で中心部を覆ってしまうことにより、高山特有の直射日光を防ぎつつ保水もするという一石二鳥を達成しているらしい。

コケは山の斜面や林の石や倒木の上に生えることが多い。これは光がないと生きていけないためで、落葉樹林などでは落ち葉がコケの上に落ちると光を遮ってしまい光合成できなくなるので、落ち葉がたまる場所にはコケは生えない。斜面や石の上などは風が吹けば落ち葉が重力に従って落ちていくのでコケが生きていける。これは秋田の竿灯祭りの提灯やソーラーパネルと同じしくみ。そんなしくみを原始的な植物がすでに獲得しているところがすごい。

竿灯祭り

竿灯祭り

まとめとして、変水性という特徴があり、保水のために構造を変化してきたのがコケ。もっともっと話を聞いていたいすてきな講座でした。帰りにはタマゴケのタマちゃんまでいただいてしまって、絶対パート2も来るぞと決意、年間パスポートも購入しました。

タマちゃん

タマちゃん

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