苔をたずねて三千里

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第46回読書部 スティーブ・エリクソン『Xのアーチ』

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今回の参加者は13名。本来であればエリクソンでも評価の高い『黒い時計の旅』にすればよかったけど、新刊の文庫を敢えて選ぶ。そもそも、スティーブ・エリクソンは別の作品の登場人物を、映画のようにカメオ登場させることはきちんと読んでいる人には有名らしい。そういうのは事前情報としてもっと流布された方がいいと思います。なので、本当にエリクソンを楽しみたい方は、90年代に翻訳があった5冊くらいを一通り読んだ方が楽しいらしい。

※以降はネタバレを含む記述になりますので、未読の方はご注意ください。

まずは参加者の方のコメントから。

  • 作中にエリクソンが3人いる(な、なんだってー!)
  • つまりはエリクソンの私小説
  • 抽象的な言葉遣いが多いが、これが柴田文体か(原文はもっとシンプルな単語が多いという説も)
  • メイクラブじゃなくてFuckな感じ
  • 木箱やタロットのように時空を超えてアイテムが登場することで、時空の変化がわかりやすい(が、図式化しないと把握は難しい)
  • 黒と白のモチーフが多く、映像的な描写が多い
  • 不思議な出来事があふれていることがマジック・リアリズムをねらっているか
  • 歴史と個人の戦いを描き、個人が派手に大敗している
  • Xのアーチ構文!(同じ文章内に対比する言葉を使うことで交差するXをねらっている)(読みづらくなるのは作者覚悟の上か)
  • なぜ作中のエリクソンは殺されなければならなかったか
  • サリーの内面はあまり描写されていないが、美人というだけで祭り上げられる不幸
  • いろいろ書いてますが、共感できないという人もそれなりにいました
  • 「永劫都市」とかエリアの名前がむかしのSFぽい(別の本のキャラクターが登場するのはムアコック「エターナル・チャンピオン」シリーズの影響?)。

いつものように、本会の内容についてはわたし自身も参加して記録をとる暇がないので割愛。ただ、いつもよりも愛憎入り乱れて盛り上がったことは記しておきたい。

某氏によると、登場人物のエッチャー、エリクソン、ゲオルギーの3人は著者自身であると。作中のエリクソン(エリクソンX)が死に、殺したゲオルギーは新しく生まれ変わったエリクソンで、アメリカ(LA)に戻り、地震で起こった地殻変動から時空をさまよい、トマスを殺して自分も死ぬ。登場人物の相関図をきちんと見るといろいろなところできちんとつながっているところがおもしろいので、これから読まれる方は面倒でもそういうのを作るといいかも。

個人的には、SF設定を使うならもうちょっと厳密に作り込んで欲しいという印象で、元々私小説が苦手なので梅クソンの烙印を押さねばなりません。私小説って作家自身のナルシシズムにおつきあいして、ファンにならないといけない。小説を通じてしか作家のことを知らないのに、その周辺情報までかき集めないと楽しめないというのは、コストが大きい。

次回開催は5月21日(土)、課題図書はドナル・ライアン『軋む心』(白水社)です。

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