苔湯酒活動 黒山三滝

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ホコリタケの一種?

苔湯酒活動とは、山に登って苔を見て、下山したら風呂に浸かり酒を飲む活動のことである。今回は埼玉県越生町にある黒山三滝。滝と苔は相性がいいので楽しみな上に、日本蘚苔類学会によって「日本の貴重なコケの森」にも選ばれている、由緒正しい苔観察スポットなのです。

鮎を焼いている店

鮎を焼いている店

黒山三滝へは、池袋から東武東上線で北上し、坂戸で東武越生線に乗り換え、終点越生駅で下車して、バス20分。都心からだと2時間程度みておけば大丈夫だし、バスも1時間に1本あって電車と接続しています。奥多摩だと登山客が多くて行くまでに少し疲れてしまうのだけど、こちらは乗客が少ないのでのんびり行けるのがいいですね。東上線なんて学生の時以来の乗車で、車両の床が木造だった記憶はわたしのねつ造でしょうか、なんだかすっかりきれいになってしまって見違えました。池袋からずっと整った町並みが続きますが、乗換駅の坂戸に着く頃には畑も目立つようになり、乗り換えものんびりした空気です。

駅からのバスは黒山三滝へ直通する便と、途中のニューサンピアおごせに停車するバスがあります。ニューサンピアおごせはプールやレストランや日帰り温泉があるので、滝でかいた汗を流すのに良さそうなのですが、帰りのバスは停車せず……。直通のルートからだとちょっと奥まったところにあるので、徒歩で向かう気にはなりませんでした。

さて、バスの終点黒山三滝に到着。大きな看板をくぐっていよいよ苔、の前にカナヘビに遭遇。

カナヘビ

きれいなしっぽのカナヘビ

奥多摩では幅をきかせていたホソバオキナゴケはここでも健在。だいたい木の根元から1mくらいの高さまでに生えていることが多いのです。このホソバオキナゴケ、某アイドルさんもお好きだとか。一方で、奥多摩ではよく見かけたネズミノオゴケは見つけることができませんでした。山を1つ2つ越えるとかなり植生が異なるところがすごくおもしろい。

ホソバオキナゴケ

ホソバオキナゴケ

いい苔がある場所は一歩目からいい苔があるものです。反対に、最初から広葉樹ばかりで落ち葉によって苔の日照を妨げている場合は、森の奥に分け入ってもいい苔があることは少ないようです。今回も入り口から滝までの間に十分すぎるほどの収穫がありました。中でも高尾山以来の遭遇となるコモチイトゴケの発見には、おっさん一人なのについ声をあげて喜んでしまうくらいにテンション上がります。山などのきれいな空気、きれいな水のあるところでないと生育しないのですね。

キヨスミイトゴケ

キヨスミイトゴケ

観光地になるだけあって滝はさすがの迫力。茨城県にある袋田の滝や日光華厳の滝などと比べるとちょっとスケールは劣りますが、かなりの近さで大量の水が落ち続けている重みや音が間断なく続くようすに圧倒されます。三滝のうちの1つ天狗滝は男滝・女滝の道中半分くらいのところにあり、川に足をつけないと渡れないので間近まで行くことは断念。でもここでは見たことのない苔を発見できたのでうれしい。

平らな葉が特徴的だけど名前は不明

平らな葉が特徴的だけど名前は不明

イチョウのような葉先にカップをもつ苔類

イチョウのような葉先にカップをもつ苔類

男滝・女滝の近くにもマキノゴケなどの珍しい苔を発見。見たことのない苔を見つけるというのが苔湯酒活動一番の喜びです。

男滝。江戸時代の遊女も願掛けに来たとか

男滝。江戸時代の遊女も願掛けに来たとか

茎のような部分がある苔類

茎のような部分がある苔類

滝の左手にハイキングコースを見つけてしまい、「こっちにも苔が生えている!」と内心喜び勇んで、どんどん山奥へ進入していく。苔もさることながら、不思議なキノコ(たぶんホコリタケの一種)を見つけて、キノコ類への好奇心も入道雲のようにわき上がってくる。

ホコリタケの一種?

ホコリタケの一種? 森の妖精みたい

調子に乗っていると、どんどん山の中に入ってしまい、途中にある濡れた岩を越えるとその先はもう本気の登山。大平山という修験道の山は、標高は500m程度と低いものの、傾斜がきついので夏に登るにはちょっと大変です。厳しい坂を呪いながら登り切ると、そこには意外なおもしろさが。役の行者がまつられているところに、狛犬のように従うのは2人の鬼。

右の鬼(?)はバトルアックス

右の鬼(?)はバトルアックス

左の鬼は徳利?

左の鬼は徳利?

鬼たちの先にたたずむ役の行者

鬼たちの先にたたずむ役の行者

こんなすてきな石像を見られたことで、疲れが一気に吹き飛びました。Wikipediaによると伊豆大島に流された役行者は海を歩いて富士山まで渡ったという伝説が残されているそうで、高尾山やこの大平山にもそのような伝説に影響されて修験道が広まったのかもしれません。

今回のルートはこちら(ほとんどバス)。

黒山三滝と大平山のルート

黒山三滝と大平山のルート

お昼を準備せずに山に分け入ってしまったので、下山した時にはかなりの空腹でふらふらに。バスまで30分あるからと入ったうどんの清水屋。くいっとビールをあおってうどんをするするっとすすってさっと帰るつもりでしたが、出鼻に「ビールありませんよ」の声に失望の嵐。うどんと一緒についてくる小鉢、特にところてんがとてもおいしかったのは救いでしたが、それでもやっぱり下山して最初に口にするのはビールでありたい……っ。バスで駅前まで戻り、サッポロ黒ラベルを。ありがたいおいしさです!

苔を見たことがないしそんなに興味がない人でも、立派な滝があったり鮎を食べられたりして、滝までなら普通のスニーカーで十分なスポットの黒山三滝。苔のおもしろさはここから始めるのもいいと思います。

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