苔湯酒活動 奥多摩湖いこいの路

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山紫陽花

苔湯酒活動とは、山に登って苔を見て、下山したら風呂に浸かり酒を飲む活動のことである。今回は奥多摩湖を半周する 奥多摩湖いこいの路。アップダウンはほとんどないので、山という形容はあてはまらない。しかし、苔に関しては豊作だった。なので、いろんな苔を見たいという方にはおすすめできるルート、だが全長12kmもあるのだった。

※今回見た苔の地図を苔Mapにまとめました。

梅雨の合間の晴天

梅雨の合間の晴天

今回のコンセプトはカメラの電池が切れるまでひたすら撮影し、切れたら歩きに集中するということ。しかし、電池が切れた後でいい苔や珍しい苔が見つかるかもしれない。いたずらな心配をしながら平坦な道をひたすら歩いた。

たぶんシノブゴケ

たぶんシノブゴケ

左手に奥多摩湖、右手に苔やシダを見ながら歩くことになるが、苔に集中しているので必然的に首はずっと右を向いてしまい、妙に肩が凝ったりする。なので、時折左側の奥多摩湖を見てバランスを取る。現在では東京都民の水瓶として当然の顔をしている奥多摩湖も大正から昭和にかけて用地買収によって作られた人工の湖。多くの集落は水の底に沈んでいる。一方で奥多摩湖よりも高い場所にある家は現在でも人々が住んでいる。そのあたりの複雑な経緯が石川達三『日陰の村』に描かれているのだろうから、読まねば。

ケチョウチンゴケかと思ったが、中肋が葉先から飛び出しているので別種

ケチョウチンゴケかと思ったが、中肋が葉先から飛び出しているので別種

峰谷橋バス停から山のふるさと村まで普通に歩けば40分程度だと思うが、まさかの2時間オーバー。苔の歩みは遅い。6月という時期は、春に出来た胞子が成長している最中なので、植物体(本体)も小さいし、朔もほとんど見られない。ということは、朔で見分けることができないので判別するには良い時期ではないかもしれない。

たぶんイボタチヒダゴケ。小さい葉に大きな朔が埋もれているのにぐっとくる

たぶんイボタチヒダゴケ。小さい葉に大きな朔が埋もれているのにぐっとくる

根本的に朔がいつできるのか、書物や図鑑に明確な時期が記載されていることは少ない。被子植物とちがって目立たないから、苔は四六時中観察ができないため細かいところまで分かっていないことが多いと聞いたことがある。書物の写真の日付を見ればおおむね時期が分かりそうだ。いま見ている平凡社の『日本の野生植物―コケ』では朔がついている苔のほとんどが、3〜4月か8月下旬に撮影されている。朔ができるのは春と夏の2回なのか?

ぼけぼけだが中央にいるのが普通の蟻。苔は蟻よりも小さい

ぼけぼけだが中央にいるのが普通の蟻。苔は蟻よりも小さい

「苔の何がおもしろいの?」とよく聞かれるが自分でもよくわからない。肉眼でほとんど見えないものが存在していて、すごいバリエーションに富んでいるというのは魅力の一つだと思う。そのバリエーションを記録したい欲がある。まだ具体的にどうやって記述すればいいのかわからないけど、この品種はこのあたりに行けば見られます、というのをGoogle Mapなどに反映したい。図鑑にはたとえば「八ヶ岳撮影」とキャプションがあるけれど、八ヶ岳といっても広い。オンラインやアプリでもう少し細かい範囲が分かるようにしたい。おもしろさや良さを伝えたいというよりは、調べたい人がすぐに分かるしくみを作りたいと思う。……苔を好きでもない人が調べたいとは思わないかもしれないが。

碁石ぽい

碁石ぽい

蜘蛛の巣後家ならぬクモノスゴケ。葉先が蛙の足ぽいと思う。

蜘蛛の巣後家ならぬクモノスゴケ。葉先が蛙の足ぽいと思う。

今回のベストショットの一つ、イクビゴケ。朔の照りがよかった

今回のベストショットの一つ、イクビゴケ。朔の照りがよかった

カメラの電池は3時間くらいで切れてしまったので、残り9kmくらいをあまり脇見しないようにてくてくと歩く。途中護岸工事をしていて、この林道で苔を見るには必要な工事だけれども、この工事によって住まいを奪われる動植物・苔がいるかと思うと複雑な気持ちになった。特に工事している先では苔界で人気の某苔群落ができていたので、この工事でどれだけ影響を受けるのだろう。

キノコぽい朔をつけるコシッポゴケ?

キノコぽい朔をつけるコシッポゴケ?

アップダウンがないとはいえ、12kmをほとんど休憩なしに歩き続けるとさすがに足の裏が痛い。山のふるさと村から3時間ほどかけて這々の体で小河内ダムに着き、「奥多摩 水と緑のふれあい館」でお土産とビールを買おうとしたところ、売店とレストランはなんと3階。1階から2階はらせん状のスロープで水と緑について解説される小部屋が続く。しかし、わたしはビールが欲しいだけなのだ! 売店がフロアの一番上だと購買意欲をなくす人も多いだろうに。

個人的にはいろんな苔を見たい人には迷わずお勧めのルートですが、全部歩ききる必要はなくて、山のふるさと村半径2kmくらいをじっくり回るだけで良さそう。食事も出来るしトイレもあるし登山靴がなくても全然平気です。が、苔に興味ない人にはただの平坦な山道でまったくおもしろみがないこと請け合いです。次は8月終わりくらいに朔が出てるかどうか確認に来るつもり。

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