2015年5月の読書まとめ

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苔と山口晃にはまっていた一ヶ月。

2015年5月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:1873ページ
ナイス数:111ナイス

苔三昧――モコモコ・うるうる・寺めぐり苔三昧――モコモコ・うるうる・寺めぐり感想
苔は何百・何千と種類があるので、あらかじめ調べられて多様性もある苔寺で苔に入門すべし、というコンセプト。なるほど、とは思うが、関東それも東京近辺はなかなか難しい。大気に問題があるのももちろん、本書に書かれている「霜柱は苔を地面から浮かび上がらせるので成長を阻害する」という指摘には深く納得。地元は田舎だが苔の印象があまりないのは、そういうわけかも。カラーページが多く、豊かな苔の庭の美しさがひしひしと伝わってきます。地方の苔の名所を訪ねて旅がしたくなる一冊。
読了日:5月28日 著者:大石善隆

苔の話―小さな植物の知られざる生態 (中公新書)苔の話―小さな植物の知られざる生態 (中公新書)感想
文字の多い新書だからこそ苔のおもしろさを伝えられることもある。大気の汚れに敏感な反面、銅や鉄を体内に取り込める種類があったり、雄・雌の区別どころか自らクローンを作ったりする仕組みなどがきちんと説明されている。とはいえ、苔のおもしろさはやはり造形にあるのも事実。口絵と本文の白黒写真だけでは、書かれている苔の造形を把握しきれないので、他の入門編的図鑑のような本で造形をある程度把握しておいて、もっと知りたい場合にひもとく一冊だと思う。観察に行って、帰ってきて再読するたびに新たな発見がありそう。
読了日:5月23日 著者:秋山弘之

ジーン・ウルフの記念日の本 (未来の文学)ジーン・ウルフの記念日の本 (未来の文学)感想
過去3作の邦訳と「新しい太陽の書」で受ける印象よりも、ずっと直球SF。ディストピアな「樹上の家」や一発ネタ「カー・シニスター」。とはいえ、ジーン・ウルフらしい種も仕掛けもいっぱいで、解説で読める通り、登場人物のアルファベットに仕込まれたルールから、さらに飛躍した解釈も可能かもしれない。「鞭はいかにして復活したか」「養父」「取り替え子」「狩猟に関する記事」のような、史実をベースにしたうえで、解釈が人によって分かれそうに見える話の方が好み。
読了日:5月17日 著者:ジーン・ウルフ

グールド魚類画帖グールド魚類画帖感想
似ている本といえばレイナルド・アレナス『めくるめく世界』。どちらも元の世界を追われて地獄を駆け回る。こちらの語り手グールドは画家で、実際に描いた魚の絵が美術館に残存するので、現実との境目がいっそう見分けづらい。汚い牢屋に入れられて自分の肘のかさぶたをめくって赤い塗料としたり、死体から盗んだラピスラズリで紫色の顔料を作ったりと、記録を残すことの苦心が忍ばれる。一方で現実と異なる「偽書」の仕掛けもそこここにあり、見抜くのが楽しい。最後の解放は確固とした世界が崩れる『百年の孤独』さえ彷彿させる。須く読むべき書。
読了日:5月9日 著者:リチャード・フラナガン

ヘンな日本美術史ヘンな日本美術史感想
橋本治の『ひらがな日本美術史』をもっと絵描き視点にシフトさせたような、わかりやすさと独自論理が心地いい。琳派は一切スルーされていて、もっと絵描きの力量がストレートに伝わってくるものを、いかにして描かれたかという視点から語られる。作品名を聞いたことのないような下手な絵もあるが、それがなぜ生まれたか、そして愛すべきポイントはどこか。下手な絵を鑑賞しようという斬新な試みにはっとした。己のできることを精一杯出した結果としての絵画を、わたしももっと集中して楽しみたいと思う。河鍋暁斎と雪舟の文だけでも読むべき。
読了日:5月5日 著者:山口晃

エウロペアナ: 二〇世紀史概説 (エクス・リブリス)エウロペアナ: 二〇世紀史概説 (エクス・リブリス)感想
第一次大戦と第二次大戦を中心に歴史の変遷を綴る。しかし、そのテーマは戦争から宗教(サイエントロジー含む)、毒ガスの開発から毒ガスから逃げるための泳ぎ、上司の誤解が通訳の不在というエピソードからエスペラントへと、ユニークな変化を見せる。歴史書は決して客観的になれないと言ったのは誰だったか、ならばその主観を推し進めてみせたのが本書。歴史は解体されてもつながってしまう、因縁のようなものかもしれない。
読了日:5月5日 著者:パトリクオウジェドニーク

さて、大山崎さて、大山崎感想
大山崎にあるアサヒビールの美術館で行われた展覧会の図録。まずは「大山崎交通乃圖」。縦横無尽に走る道路は等伯の松、そこに得意の細かな町並み(洛中洛外図的な)が絡んで、しかも小さくメカニカルな車両(いつもの一輪馬!)が走る。山口晃ファンならお子様ランチのようにおいしいものばかり取りそろえた一幅。「最後の晩餐」を日本の武将で描くのも新鮮。しょんぼりと箸の進まない明智光秀とその軍、中に小人や中人がいるのも不思議だが、現代の醤油差しやワイングラスが出てくるのもニヤリとさせられる。案の定未完も多いが、見て損なし。
読了日:5月3日 著者:山口晃

美学への招待 (中公新書)美学への招待 (中公新書)感想
http://www.uporeke.com/book/?p=1449
読了日:5月2日 著者:佐々木健一

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