苔湯酒活動 生田緑地

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苔湯酒活動とは、山に登って苔を見て、下山したら風呂に浸かり酒を飲む活動のことである。今回は神奈川県にある生田緑地。山がないように思われるかもしれないが、れっきとした「枡形山」という山が園内に存在する。……標高84m。

以前参加した苔の観察会で『生田緑地のコケ』という本が存在することを教えてもらった。600円ほどの小冊子だが、Amazonには売っていない(実物を確認したらISBNもない)。本があるならば、苔もあるにちがいない。さいわい、がんばれば自転車でも行ける距離ではある。苔の本と苔のために約1時間ほど自転車をこいで生田緑地に到着。この時点でバテバテだが、入口にはいまが盛りと菖蒲の花が咲いていて気合いが入る。

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生田緑地は都内近郊とは思えないほどに広大で、100ha以上もある(公園として整備されているのは45ha程度)。そんな広大な場所の苔を一日ですべて観察するのは不可能と早々に諦めて、「日本民家園」以外の場所、つまり入園しても料金が発生しない場所を回ることにした。枡形山〜蛍園〜岡本太郎美術館前〜梅園と回って約2.5時間。思った以上の高低差に四苦八苦しながら、それでも都内の排気ガスで汚れた場所にはない、平地ならではの苔を見ることができたので、かなりの満足感。

コバノチョウチンゴケ?

コバノチョウチンゴケかもしれないが、現場でチョウチンゴケを認識できたことがない(朔がないとわかりづらい)のでこれも確信なし。

コモチイトゴケにしては褐色が少ない

意外に都心部ではコモチイトゴケを見かけることがない。樹幹の苔はしゃがまなくていいので、見つけるのも撮るのも楽でありがたい!

ナガサキホウオウゴケ?

『生田緑地のコケ』を買う前に観察したので、どこにどんな苔があるのか知らない前提でまずはめぐった。次来る時は本を片手に回りたい。これはたぶんナガサキホウオウゴケ。6月にまだ朔が残っていて驚いた。たいてい4月くらいで終わりだと思っていたので。

帰ってから『生田緑地のコケ』をひもとくと、見返しに生田緑地の地図とともに、見られる苔の種類が書かれている。それによると、まだ岡本太郎美術館は存在していなかった! 開館は1999年で、本が発行されたのは2000年3月なので、ぎりぎり間に合わなかったということだろう。

当時、川崎市と生田緑地との間では「生田緑地里山・自然の権利訴訟」が展開されていた。生田緑地の自然を守るために、岡本太郎美術館の建設に市民グループが反対していた。この頃、アマミノクロウサギなどの例もある動物や植物を原告とする訴訟形態で、他の裁判同様にここでも受理されなかった。結果として、搬入道路や立派な岡本太郎美術館が建設され、現時点ではキツネやタヌキは生田緑地に存在していないようだ。この日も、蛍が生息する場所から見上げるとすぐ近くにマンションが建設されており、1990年代の森とはだいぶ様変わりしていることが想像された。

マンションどころか、道路一本ひく、下手をすると道路を掃除するだけでも簡単に苔は生息できなくなり、実はそれが絶滅危惧種だったりすることが場所によってはありうる。イリオモテヤマネコやトキのような大きい生物の絶滅危惧種はニュースになるけれども、苔のように小さな生物が絶滅危惧種といわれてもニュースにはならない。また、書いているわたし自身も、少数の苔が絶滅してどのような影響が将来的に起こりうるのか、はっきりとは言えない。ただ、ある種を人間の都合で絶滅させることは絶対の悪だと確信している。人間ひとりひとりちがうというなら、動物だって植物だってちがうはずなのに、なぜか人間以外は平気で蹂躙できてしまう。おおげさかもしれないけど、わたしにとってそれは差別だと思うのです。

あれ、湯と酒の話を書くはずが……。

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