苔をたずねて三千里

苔の写真を撮り、海外文学を読んでいます。

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動物絵画の250年@府中市美術館

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府中駅、初めて下りた。サッカーにも興味ないし、知り合いがいるわけでもない。それに正直、この展覧会をものすごく見たかったわけではない。いま個人的に盛り上がっているルーペ+iPhoneで苔や小さな花を撮影するという目的のため、ある程度大きくて自然が豊かそうな公園を探していたら、たまたま公園+美術館という組み合わせがあったので、目的地として選んだだけ。

駅を出るなり大きく道を過ち、称名寺という寺に出る。時宗の寺に足を踏み入れるのは初めてかもしれない。しだれ桜が雨に煙っていた。時宗というか一遍上人については、「信不信をえらばず、浄不浄をきらはず、その札をくばるべし」(from Wikipedia)という実践のみの態度に興味があって、一度きちんと向き合ってみたいと思っている。

時宗 称名寺

正反対に向かって歩き直す。途中まだ桜がそこここに残っており、最後の花見と得した気分になる。府中の桜をよく見ると、幹の部分に軒並みウメノキゴケらしき地衣類や、普通の苔が付着していて、長年同じ場所に咲き続けてきたわけで、歴史の長い街なのかと思う。

桜通

府中市美術館は、府中の森公園の中にある。府中の森公園も木々草花がよく手入れされており、日本庭園もあって、近くに住んでいたらここでぼんやり本読んだりコーヒー飲んだりしたいと思わされる。人が多くないのは雨のせいばかりではないだろう、市外局番03地域ではここまで穏やかな公園はそう見かけない。

遠くにあるのは自衛隊の施設

府中市美術館の展覧会「動物絵画の250年」は、動物だけ見ていたら飽きるかもと危惧していたが、想像以上にそれぞれの個性があっておもしろい。「虎の足はクロスしてるのが基本」とか、「蝶と椿の組み合わせのおめでたさ」のような当時の常識も、市立の美術館なので子どもにも分かるように説明されている。とはいえ、駅からそれなりに歩くせいか、会場の入りはまばら。同じ内容を上野でやったら押すな押すなの大賑わいになるかと思うので、これからは地方の美術館を積極的にまわってみたいと思わされるくらい、いい内容。

みんな大好きがさつな芦雪、にじみまくったコウモリはまだしも、鶴が飛んでいるのなんて、よくわからない横線に赤い点が一つついて鶴でござい、って雑にもほどがあるとうならされた。さすがに無量寺の虎は今回やってきていなかったが、芦雪は4点くらい展示されていたはず。そして最後の最後に師匠の応挙を超えるような本気を出してきて、「やればできる子……」となぜだか感動した。

その応挙、結構な点数があったが、どれも他の絵師を抜きん出て構図・色・線の切れ味、どれをとっても最高。普段から応挙がうまいのはわかっているつもりだったが、「動物」だけでそろえた場合、誰よりも決まりまくっている。それが動物という伝統から外した画題なだけに、特に上手さが際立つ。

今回の伊藤若冲はゆるふわ系なので、ピカソよりも先にキュビズムやってるよとあきれたり、弟子いたんだと驚いたり。

他にも「ちくちく猫」こと片山楊谷「竹虎図屏風」とか、歌川国芳「流行猫の戯」では猫が芝居を演じていて着物の柄が小判だったり、「狐の嫁入り屏風」が頭だけ狐で、身体は普通に人間でみんな手がしゅっとまっすぐにのびてるのとか、ユーモアがあって「日本絵画見るぜ」と意気込む必要のないやさしい展示だった。前期も行けばよかったと後悔するレベル。

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