苔をたずねて三千里

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ジーン・ウルフ『ケルベロス第五の首』読書会に行ってきた

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※ネタバレあります。

いま自分で声をかけている読書部で初めての読書会がこの『ケルベロス第五の首』。
当時はまだ社会人になって数年で、右も左も分からないところを、いろいろ詳しい話をしてくれる人がたくさんいた。
その時は決して教えてもらったことがすべて分かったとは言えず、それでも読書会はいろんな人の声が聞けておもしろいし、自分の学びにもなると思って、非力ながらも続けていこうと決意した。

あれから10年。
同じ『ケルベロス第五の首』で読書会をすると聞き、本自体のおもしろさももちろん、前に読んだ時からどれだけ自分が理解できるかをはかるためにも参加したいと、初参加の読書会に飛び込んできた。
都内某所は普段のルノアールと違って、本当に円卓で、すごく広い。
隣の人と手が届かないくらいだし、スライドもある。
出席は11名。
きちんとレジメを作ってくる方が2人もいて、そこにも驚く。

第1章がサント・クロアの娼館、第2章はサント・アンヌの民話、第3章はサント・アンヌからサント・クロアに渡ってきたマーシュ博士による手記という構成になっている。
第1章では第五の首というのがクローンが続いてきて5代目ということ、そのクローンの元になった人間はミスターミリオンとなって存在を続けているところが図解されたり。
父に呼ばれて記憶が曖昧になるところは、先祖の記憶を掘り返すためと聞いて納得したりとか。
何より、全体を通じてキリスト教的な、ヨハネの黙示録が通底になっているという解説には、「な、なんだってー」と仰け反る。
最後の最後で登場するエンゼルス・トランペットは、ただの異国の植物というだけでなく、天での戦いの合図という見方。
ジーン・ウルフはテキスト内で完結させて読むべき、という思い込みが崩された瞬間でありました。

2章でつまづいたという声多数。
やんぬるかな。
柱にきちんとタイトルが反映されていないのはなぜか? という疑問。
原書ではby John V. Marschまで柱に書かれていました。
影の子=第3章での自由の民と解釈していいのかという疑問については、わたしは根拠なく同じと思っていたが、フランス人=影の民だとすると、フランス→自由という流れが聞けたのは、強い根拠になりうると思った。
そして現地のドラッグをやりすぎて退化しつつも半透明化のを身につけた、と考えると、自分としてはすっきりする。

第1章だけ作品単体としておもしろく、残りの2章は物語の補完という見方があるのもおもしろかった。
これだけ複雑な物語を、後付にしてなおかつ世界が破綻していないという点で、ジーン・ウルフが技巧的な作家とみなされるのも当然かも。
ここからはアボが道具を使えないというルールが重要になってくる。
基本的にはマーシュ博士が現地人を雇ってフィールドワークに出るが、事故または事件によって殺され(個人的には「崖から落ちた」という描写があることと、少年がいい奴だったので事故だと思いたい)、変身能力のある現地人の少年がマーシュに成り代わる。
しかし、逮捕された理由は殺人ではなく、サント・アンヌからのスパイというところもおもしろい。
少年がマーシュ博士に変身できるのも、実は大人になる1回だけという点もわたしは気づかなかった。
士官が聞いているテープは世代的にカセットテープかと思い込んでいたが、オープンリールという描写があったのも新しい発見。

今回も実り多き読書会に参加できたことに感謝。
外部の読書会に行くことは普段とは別の刺激がありました。
次回以降もぜひ行きたいと思ったことです。

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